13人が電撃退団…新規球団で感じた“温度差” 39歳現役続行も、元NPB右腕が語る現在地
鷹、ハム、DeNAでプレーした藤岡好明がハヤテでの1年を総括
ソフトバンク、日本ハム、DeNAで計15年間プレーし、独立リーグを経て今季からウエスタン・リーグに加入したくふうハヤテで活躍した藤岡好明投手がFull-Countのインタビューに応じ、1シーズン限りで退団した理由やNPB経験者からみた新規参入球団の現状を語った。さらに39歳で迎える「これから」についても言及した。
昨年まで2年間、コーチ兼任でプレーした独立リーグ・九州アジアリーグの「火の国サラマンダーズ」を退団した藤岡は、トライアウトでハヤテに加入。NPB2軍に新規参入した球団で21試合に登板し19回2/3を投げ防御率1.37、3セーブの成績を残した。チームは28勝84敗8分け、優勝したソフトバンクに43ゲーム差の最下位だった。
NPB球団と比べて戦力、環境面で厳しいことは十分に理解していた。しかし、藤岡は1年間プレーした上で、チーム内の“温度差”も感じていたという。
「歩んできた道が違う人が多い。球団に入ってくる目的も違う。チームとしてはNPB球団に選手を1人でも多く送り出すという目標はあると思うのですが、どれぐらいの選手が本気でそう思っていたのかは疑問に感じました。とりあえず野球を続けている、という人も少なからずいたと思います。決してそれは悪いことではないけど、本気で何かを成し遂げるためのチームにしていくには、今後そういうわけにはいかないだろうし、そのあたりはどうなんやろな、と思いながらやっていました」
ゼロからスタートした1年目のチームとして試合、シーズン完走を成り立たせなくてはいけない部分もある。その意味でもまずは戦力となる最低限の人員確保は不可欠だったはずだ。藤岡も「1年でどうこういってもすぐに変わらない。これからどういう人材を集めていくかが今後の課題だと思います。モチベーションの差をなくすというか」と素直な思いを述べた。
ハヤテ退団は「どういう道に進むか選択肢を広げるため」
チームは13人が退団。すでにトライアウトも実施し、来季へ向けた新たなチーム作りが始まっている。藤岡も退団した13人のうちの1人だった。チームからは慰留されたが、契約満了で退団する意思を伝えた。
「来年も、という話はいただいたのですが、僕が次にどういう道に進むか選択肢を広げるために退団しました」
来年3月に40歳になる。それでも2軍戦とはいえ、NPB球団相手に結果を残せたことで新たな道に進むための手応えも感じている。
「もうちょっと現役でやりたいと考えている。海外の野球にも触れてみたいという思いがあります。それがどこの国になるかは分からないけど海外を中心に考えています。今は何も決まっていませんが、自分の気持ちに対して素直にいきたい。少なからずあと1年は野球をやる方向で考えています」
現時点でアジア、欧米など特にこだわりはない。未体験の野球を通じて自分の知見が広がるような経験を求めている。「10年、20年先にも繋がるいい1年になればと思います」。NPB3球団、独立リーグ、新規参入球団のマウンドに立った39歳右腕。決別ではなく、ポジティブなハヤテ退団で、再び新たな道を模索していく。(湯浅大 / Dai Yuasa)