スポニチ

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 広島・秋山翔吾外野手(36)が来季に向け、自身の立場を改めて確立する覚悟を示した。新井貴浩監督(47)が全選手に発信した「来年は横一線からのスタート」というメッセージを受けての意気込み。今季リーグ3位の158安打、同5位の打率・289をマークし、健在ぶりを誇示しても決して慢心せず、結果と姿勢で再びチームをけん引する。

 実績豊富なヒットメーカーでありながら、謙虚に自分の足元を見つめていた。10月5日の今季最終戦後、さらには16日の秋季練習初日に新井監督が発した「来年は横一線からのスタートだから」というメッセージ。秋山は意図をくみ取った上で意気込みを示した。

 「そう言われた以上は、自分でもう一回立場を構築したい。試合に出るための準備、必要だと思われるような準備をしてくれ…ということだと思うので」

 昨季終盤に2度離脱し、右膝を手術して迎えた3年契約最終年。新春の伊豆・下田自主トレで「契約が切れるのは怖いところ。長くやるには結果を出さないといけない」と復権を期して臨んだ今季、打席でのパフォーマンスは上がり、思いは一定程度果たした。

 主に「1番・中堅」で138試合に出場。リーグ5位の打率・289をマークし、4本塁打、30打点を挙げた。放った安打数158本は堂々のリーグ3位。通算1723安打として、順調なら26年シーズンにも2000安打を達成する。

 「“ここは大事、頼むぞ”というのはあるとしても、今年1年の結果だけで、自分が不動のレギュラーの位置までいったかというと、僕は違うと思う」

 自分に厳しい、秋山らしい自己分析。来春キャンプに向けた準備は既に始めている。大野練習場を拠点に励む自主トレ。手術後だった昨オフと違い、強化に制限はなく「立ち上がりは遅くない。もう一回ビルドアップしておこうかな」と時間を見つけては汗を流す。

 「(監督は)キャンプで会おう…という感じだった。しっかり準備して、という。自由な調整ほど難しいことはないけど、それができないとキャリアを積んだ証にならない。そこは理解している」

 数々の実績を積み上げてきたヒットメーカーとして…だけじゃない。外野両翼に指示を出す、守備の要としての役割も自覚する。

 「何かで違いを示さなきゃいけない。それは、プロでずっとやってきたこと。プレーで見せ、センターで指示を出すのは重要、(外野は)簡単じゃないと認識させるぐらい、やっていかないと」

 意識の高い36歳が新たにした決意。世代交代の波にあらがって立場を確立し、来季も最前線でチームを引っ張る。 (江尾 卓也)