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名優トム・ハンクスにとって、ロバート・ゼメキス監督による『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994)はやはり特別な思い入れのある作品のようだ。公開から30年を迎えた作品への感謝や敬意の念を、米のインタビューにて語っている。

人より知能は劣るが、純粋な心と健康な肉体に恵まれた少年フォレストが、人々のサポートを受けながら成功を収め、周囲にも幸せの循環を巻き起こしていく『フォレスト・ガンプ/一期一会』。激動するアメリカを逞しく、しなやかに生き抜き、母や幼なじみのジェニー(ロビン・ライト)への愛情にあふれるフォレストを好演したトムは自身2度目のアカデミー賞主演男優賞に輝き、作品賞や監督賞なども受賞した。当時、日本でも社会現象レベルのブームを巻き起こした作品だ。

トムは本作について、「この驚くべき作品は、完全に自立しており、決して繰り返す必要のないものです」と讃えている。ウィンストン・グルームの原作をもとにエリック・ロスがペンを執った脚本、アメリカの名曲を多数使用したサウンドトラック、ジョン・F・ケネディ大統領やジョン・レノンなど時代を象徴する存在を組み合わせた映像など、一大エンターテインメントとしてのバランスは主演俳優の目にも偉業なのだろう。「ありがたいことに、もう一本作ろうと頭を悩ませることにもなりませんでした。なぜ帽子の上に帽子をかぶるのか?って話です」。

もっとも、過去に続編製作の企画が浮上しなかったわけではない。原作者のグルームは、続編となる小説『Gump & Co.(原題)』を1995年に出版。2000年代初頭には続編企画が浮上し、フォレストが90年代の出来事に立ち会っていくという構想のもと、ロスが再び脚本を執筆していた。ところが、脚本が完成した翌日の2001年9月11日にアメリカ同時多発テロ事件が起こったことで、一同は「(続編は)無意味だ、ナンセンスだ」との結論に達したという。

ちなみにトムは、続編の実現に向けてゼメキス&ロスと話し合いの場を設けたものの、わずか40分で断念されたことも。「続編への義務がある契約にサインしなかったのは賢明でした。いつも僕は、“みんな、続編をやる理由があるならやろう”と言っていますが、誰も僕に強制はできません。“前回ヒットしたんだから、もう一度やれば次もヒットするだろう”という、純粋に商業的な見方もありますが」

トムの最新作となる映画『ヒア(原題:Here)』では、ロビン・ライトと夫婦役で再共演し、監督のゼメキス、脚本家のロスともが実現した。トム&ロビンのデジタル若返りも話題の一作とあって、日本での公開も期待される。

『フォレスト・ガンプ/一期一会』 はParamount+にて配信中。

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