難病「先天性ミオパチー」の9歳長女に「好奇の目を向けられたことも…」星野真里(43)が明かす、“病気への偏見”に娘が見せた驚きの反応
〈生後6か月の娘に“先天性の難病”発覚、医者は「2歳まで生きられない」と…星野真里(43)が語る、長女が「先天性ミオパチー」と診断された経緯〉から続く
2011年に結婚し、2015年に長女・ふうかさんを出産した女優の星野真里さん(43)。その長女が難病「先天性ミオパチー」であると公表し、大きな話題になった。
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星野さんは育児中に“世間の偏見”を感じることもあったそう。それでも娘の病気について発信し続ける理由とは――。(全2回の2回目/1回目から続く)
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病気を理由に「偏見の目」に晒されることもあった
今年9月、長女・ふうかさんが難病「先天性ミオパチー」であることを公表した星野さん。その後、Instagramでは「先天性ミオパチー」の症状や、家族で過ごす日常の様子などを頻繁に発信している。
投稿の中には、友達と笑顔で過ごすふうかさんの写真もアップされている。しかし以前は、病気を理由に「偏見の目」に晒されることもあったという。
「子どもって素直じゃないですか。だからこそ、あからさまに好奇の目を向けられたり、怪訝な顔をされたりしたこともありました。
特に幼稚園の頃は、病気や障害のない子どもたちと一緒に生活をしていたから、彼女なりに感じることも多かったんじゃないかな。幼稚園の広場で元気に遊びまわる同級生たちを見て、悔しい思いをしたこともあったはずです」(星野真里さん、以下同)
病気の影響で、手足の乾燥や、湿疹に悩まされている
先天性ミオパチーは、「筋力が著しく弱い」などの症状以外に「滴り落ちるほどの汗をかく」という特性もあるという。それが原因で、ふうかさんはしばしば手足の乾燥や、湿疹に悩まされている。
9月18日に投稿されたInstagramでは、クラスメイトから手足の湿疹について指摘されたこともあると綴っていた。しかし今では、そのクラスメイトと親友になっているそうだ。
「悔しい経験をしてきたからこそ、家族以外の人たちとも臆せずコミュニケーションがとれるようになったのかなと。
ふうかは私に似て人見知りな一面もあるけど、私の子どもの頃とは比べ物にならないくらい肝が据わっているんですよ。それは、小さい頃からいろんな人のいろんな表情を見てきたからなんじゃないかな、と思っています」
幼稚園でクラスメイトと保護者に病気を説明
幼い頃から病気と向き合い、自らの力でひとつひとつ乗り越えてきたふうかさん。そんな娘をサポートするために、星野さんも試行錯誤した。
「幼稚園に入学するときは、時間をいただいて、クラスメイトとその保護者にふうかの病気や症状を説明しました。
3、4歳の子どもたちが、ふうかの病気をどこまで理解してくれたかは分かりません。ただ、『ふうかちゃんのお手伝いがしたい』と、駆け寄ってくれるクラスメイトが増えたのは嬉しかったですね。
一方で、ふうかに興味を持たない子も、もちろんいました。でも、それが自然ですよね。“病気だから”と特別視するのではなく、1人の人間としてふうかを見てくれていたから、ほかの子どもたちと自然な関係を築けたのかな、と思っています」
9歳の娘がしっかり割り切っている
今年、ふうかさんは9歳になった。Instagramでは、電動車いすを操り、自由に動き回る活発な姿も見せている。成長した娘の姿に、星野さんは何を思うのか。
「町中でふうかを乗せた車椅子を押していると、今でも好奇の目で見られることがあります。ふうかにその視線をどう思うのか聞いてみたところ、『別に、しょうがないよね』と言いきったんですよ。
私は長年人前に出る仕事をしていますが、今も人の視線に怯えてしまう瞬間があります。でも9歳の娘は、しっかり割り切っている。我が子ながら、かっこいいなと思いましたね。
ふうかは病気を通じて、広い視野で世の中を見るようになったのだと思います。だから、こんなに強くなったのかなって。本当のところは彼女にしか分からないけど、ふうかを見ているとそう感じますね」
ふうかの姿は、弱い私を強くしてくれる
自らの病気を受け入れ、“凛”とした姿を見せる娘の存在は、星野さんにとっての“光”だと続ける。
「前向きで、希望に溢れてキラキラしたふうかの目を見ていると、『私も、彼女に誇れる生き方をしたい』と身が引き締まるんです。ふうかの姿は、弱い私を強くしてくれるんですよ」
強く生きる娘の姿に触発されて、星野さんは今年、大きなチャレンジをした。専門的な知識やスキルが必要な国家資格「社会福祉士」の試験を受け、見事合格したのだ。
「まだ資格を取ったばかりで、私にできることは多くはないのですが」と謙遜しながら、資格取得の理由をこう説明してくれた。
「社会福祉士」の試験を受けようと考えたワケ
「ふうかがいろんな人たちと関わってたくましく成長していく姿を見て、インクルーシブ教育がもっと浸透してほしいな、と考えるようになりました。でも、その実現にはまだまだ障壁がたくさんあります。
このまま何もしないでいると、ふうかはあっという間に大人になってしまう。変えるために長い期間がかかると分かっているなら、早く動かなきゃいけない。
まずはふうかの病気を公表することで、医療や福祉に興味を持つ人が少しでも増えたらいいなと。でも、公表するのは勇気が要るから、自分を鼓舞するための動機が必要だと考えていました。何か福祉系の資格を取ったら、ちょっとだけ自分に自信がついて、公表する勇気が出るんじゃないかな、と思ったんです」
ふうかさんの病気が発覚したことで、星野さんを取り巻く環境は大きく変化した。その変化は、星野さん自身の価値観にも影響を及ぼしているという。
「私はとても健康で、入院したのはふうかを出産したときくらい。ふうかが産まれるまでは、医療や福祉のことを全く知りませんでしたし、興味もありませんでした。
でも、ふうかを通じて医療や福祉とつながってみたら、私自身もたくさんの人たちや制度に支えられて生きてきたんだな、と分かったんです。
私のように医療や福祉について知る人が増えれば増えるほど、変わっていくこともたくさんあると思う。だからその第一歩として、私はふうかを通して見たもの、気づいたことを発信していこうと思っています」
いずれはメディアをつくりたい
医療や福祉について発信したい――。それは、ただの“願望”ではない。星野さんはすでに、具体的な方法も思い描いている。
「今はInstagramで発信していますが、いずれはメディアをつくりたいですね。大きな媒体にはならないと思いますが、私たちと同じように病気と向き合う人たちのインタビューを掲載したり、医療や福祉について幅広い情報を公開できる場にしたいです。
また、今は私たちから一方的に発信するのみですが、より深く知ってもらうには、相互につながることも大事だと思っています。だから、ライブなど直接お話をする場もつくっていきたい。人とのつながりが心を軽くしてくれるのは、ふうかの育児を通じて私自身が身にしみて感じていることですから」
撮影=佐藤亘/文藝春秋
(仲 奈々)