【ソウル時事】韓国は、衆院選で自民・公明両党が過半数割れしたことによる石破茂首相の求心力低下と政局の混乱を懸念する。

 来年の日韓国交正常化60周年に向けた関係改善や日米韓連携が停滞する可能性があるためだ。石破氏は韓国では「知韓派」とみられている。

 28日付の保守系紙・中央日報は「自民党内の基盤が弱い石破首相の責任論が提起され、政局の混乱が予想される」と報じた。同・朝鮮日報は「石破首相の統率力低下は韓日関係改善にとっては赤信号を意味する」と分析。一方、革新系紙ハンギョレは「石破首相は指導力に打撃を受けることになった」と伝えた。

 韓国外務省当局者は「日本側と緊密に意思疎通し、韓日関係の肯定的な流れが続くよう努力していく」と強調。政界関係者は「政府は日本政治の動揺への対応策に苦慮しているだろう」と指摘した。

 来月5日には米大統領選が予定される。朝鮮日報は、民主党のハリス副大統領が共和党のトランプ前大統領に敗れれば、日米韓連携が「足元から揺らぐかもしれない」と予想した。

 韓国には、保守派の高市早苗前経済安全保障担当相が政局の主導権を握れば、歴史問題で関係がぎくしゃくする可能性があるとの見方もある。