千秋楽を終えて、あいさつをする市川團十郎(右)と市川新之助(カメラ・義村 治子)

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 歌舞伎俳優の市川團十郎が26日、大阪・道頓堀の大阪松竹座で「十月大歌舞伎」に出演し、昨年10月31日から始まった「十三代目市川團十郎白猿襲名披露」全281公演の大千秋楽を迎えた。

 團十郎は夜の部「連獅子」で長男の8代目市川新之助と親子共演で勇壮な毛振りを披露。場内は「成田屋!」の大向こうが響き、万雷の拍手に包まれた。終演後も拍手は収まらず、次第にスタンディングオベーションに。すると、一度降りた幕が上がり、團十郎と新之助が登場。歌舞伎では異例のカーテンコールが行われた。舞台上には「ご声援ありがとうございました」の横断幕が掲げられ、2人は充実感の漂う表情で客席に手を振り、声援に応えた。

 「口上」では、團十郎がこれまでの襲名披露全公演に出演して精神的な支えにもなった中村梅玉に感謝を述べた。続けて「代々の團十郎に顔向けできるよう、天国の父が安心できるよう、毎日(劇場ロビーに)立ってくれた母が安心できる團十郎になれるよう、麻央が目指した團十郎になれるよう、精進する所存でございます」と大名跡を13代目として襲名する決意を語った。

 市川男女蔵は父・市川左團次さん譲りの口上で空気を和ませた。ほかの俳優が共演歴やプライベートの思い出などを語るなか、男女蔵は「市川團十郎さんのご襲名、万歳でございます!」。隣の松本幸四郎が「もう終わり?」と尋ねると大きくうなずき、場内は笑いに包まれた。

 幸四郎は「團十郎さんは4歳差のはとこにあたります。同世代の戦友であります」。中村鴈治郎は「今日が千秋楽ですが、これからが、真価を問われることになります」と激を飛ばした。

 團十郎は終演後、X(旧ツイッター)を更新。「さぁこれから始まる」と気を引き締めた。

 2年前の2022年10月31日の東京・歌舞伎座、歌舞伎俳優が勢ぞろいした「顔寄せ手打ち式」で襲名を報告した。続いて團十郎として最初の演目「勧進帳」で弁慶を勤め、富樫役の片岡仁左衛門、義経役の坂東玉三郎との豪華共演が実現。その後、全国各地を巡り、襲名披露公演を無事に完走した。