日本に存在する「ざんねんな乗り物」…たった1度きりの試運転で消えた、ナゾ多き「特急列車」の名前

写真拡大 (全3枚)

世の中には残念な乗り物がある。すぐれた性能や将来性を備えていたのに、時代のニーズや期待などからズレてしまい、十分な活躍ができなかった乗り物などだ。

書籍『ざんねんなのりもの事典』には、失敗作などではなく、成功できなかったちょっと残念な乗り物がたくさん掲載されている。なかには登場(発表)当時には期待いっぱいだったのに、手のひら返しをされてしまったかわいそうな乗り物もある。

JR北海道の次世代特急として期待されていた「キハ285系」は、デビューすらかなわず、消えていってしまった残念な乗り物だった。

まさかの「出番」なしで終了

JR北海道のキハ285系が生まれたのは2014年のこと。既存のシステムをさらに改良し、特急のスピードをさらに向上することが期待されました。

この車両が生まれた時代にトレンドとなっていたのが、振り子式車両でした。カーブで車体を内側に傾けることで、より速く走るというのが基本的な原理。

キハ285系は台車を改良することで、この傾斜角をより大きくすることにも成功しました。また、ディーゼルエンジンとバッテリーを併用したハイブリッドシステムを盛り込み、経済性を大幅に向上させています。

しかし、キハ285系は、夜間に1度だけ試運転が行われたのみで車両基地の片隅に追いやられ、職が見つからないまま解体処分となってしまいます。

コストが高すぎたことや、新幹線の開業準備に人員を割く必要があったこと、JR北海道が、速さよりも運行の確実さと安全性に力を入れるよう方針転換したこと、などが開発中止の理由と言われています。

「ただ作ってみただけ」ではない、斬新な意匠の車両が試験的な営業運転にすら用いられなかったのは稀な例です。新技術の確立には、回数を重ねた試験も必須であるはず。ただ1度の試運転が意味するものは何だったのか……。

…つづく<世界でわずか20機「超ハイスぺ」なのに、なぜか消えてしまった「ざんねんな乗り物」の名前>では、費用対効果が悪すぎた超高級旅客機を紹介します。

世界でわずか20機「超ハイスぺ」なのに、なぜか消えてしまった「ざんねんな乗り物」の名前…費用対効果が悪すぎた