韓国大ヒット『破墓』は「たんなるホラー映画ではない」 日本公開直前、主演チェ・ミンシクが語る見どころ
「たんなるホラー映画ではありません。私たちが足を踏みしめて生きる、この大地と自然について語っているのです」。韓国の俳優チェ・ミンシクは、映画『破墓（パミョ）』をこう紹介する。俳優たちを適材適所に配置し、リアルな演技で韓国でも大ヒットした。チェ・ミンシクはインタビューに「デビュー42年目にしてオカルトに初めて挑んだが、自然に演じることができた」などと話した（10月18日の日本公開に合わせ、韓国での公開後に釜山日報が取材した記事を紹介します）。
1月22日に公開された『破墓』は、5日間で約262万人の観客を集め、興行収入を伸ばした。
巨額の資金を受け取って不審な墓を移設する風水師と葬儀屋、巫女（みこ）たちに起こる奇妙な事件を描く。映画『サバハ』『プリースト 悪魔を葬る者』など韓国でオカルトジャンルを築いた、チャン・ジェヒョン監督の作品だ。
演じたのはサンドクという名のベテラン風水師。チェ・ミンシクは「10歳の頃、肺結核で死にかけたことがある」と明かした。「『この世の人ではない』と占い師に言われたけれど、母が山中のお寺に私を連れて行って祈り、奇跡的に治った」というのだ。
だからか「人生には、理性だけで理解できない部分があるのではないか」とし、「映画の中で描かれた風水やシャーマニズムが身近に感じられた」と話した。「迷信だと思うより、面白いじゃないか。あえてやらない理由もないし、もちろん（没頭しすぎて）全財産を失ったり、だまされたりしたらだめだけど」
チェ・ミンシクが風水師に扮（ふん）したのは俳優人生で初めて。そのサンドクは、土地の形や土の味、色だけで吉凶を見分ける、キャリア40年以上のベテラン風水師だ。「役作りのため数カ月間本を読んだからといって、40年間土地を掘って生きてきたサンドクのようになれるはずがない」と考え、「サンドクは生涯ずっと自然を観察し、土地の形、質感、形などを研究した人だ」と説明。そして、「サンドクは山を眺める時でも深く考えるのだろうと思う。そのような姿勢を大きな軸として、キャラクターを作っていった」と述べた。
「チャン監督はこの作品を通して『私たちの、土地のトラウマを癒やしたい』と言った。（悪いものを）取り除き、傷口に薬を塗ってあげたいと。作品の中の鬼火もコンピューターグラフィックではなく、すべて自分で作っていた。その心意気が好きだった」
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1982年に演劇「私たちの町」で芸能界に足を踏み入れたチェ・ミンシクは今年、俳優生活42年目。多くの作品で印象的な演技を披露し、名実ともに韓国を代表する俳優になった。
映画『オールドボーイ』や『新しき世界』『悪いやつら』『悪魔を見た』などで数々の名せりふを残し、『バトル・オーシャン 海上決戦』は1700万人以上と、韓国の映画史上歴代最多となる観客動員を記録した。長い間、華やかなスポットライトを浴びてきたチェ・ミンシクだが、意外なことに、ずっと「孤独」だったという。
「虚構の人間と虚構の人生を現実にありそうに描く作業は、孤独の連続」というのだ。「キャラクターについて何百回も考えてその人になりきるのは、ひたすら一人で耐えなければならない作業だ」と語った。
「崖に突き落とされた状態で何かを表現しなければならないという、絶望感のようなものがある」「一人きりの孤独な作業を終えて撮影に入ると、まるでサーフィンをするように波に乗る」と独特な表現で孤独を語った。
「私は振り返らない。後ろを見るとちゅうちょするから。そして、私には欲望がある。激情的なメロドラマも一度やってみたいし、挑戦したい仕事もたくさんある。まだ触れたことのない世界に出会いたい」
ナム・ユジョン記者
