2023年10月14日、第100回箱根駅伝予選会の様子 写真/スポニチ/アフロ


(スポーツライター:酒井 政人)

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前々回と同数の43校がエントリー

 第101回箱根駅伝の予選会が10月19日に行われる。前回大会で10位以内に入った青学大、駒大、城西大、東洋大、國學院大、法大、早大、創価大、帝京大、大東大はシード権を持っており、秋の立川決戦で残りの出場校と関東学生連合のメンバーが決まる。

 予選会は各校10〜12人が出走。一斉スタートして、ハーフマラソンの上位10人の合計タイムで争われる。前回は記念大会のため「13校」が通過したが、今回は例年通りに戻る。前々回と同数の43校がエントリー。過去の実績、選手登録状況などから激戦を突破する「10校」をズバリ、予想してみたい。

通過が有力な6校

 総合力で最上位にいるのが中大だ。全日本大学駅伝を見据えて、吉居駿恭(3年)、溜池一太(3年)、柴田大地(2年)というエース格を登録していないが、資格記録によるエントリー10000m上位10人の平均タイムはトップ(28分44秒20)。それから東海大は6月の全日本大学駅伝関東学戦推薦校選考会(以下、全日本選考会)をトップで通過。兵藤ジュダ(3年)が外れたが、同10000m上位10人の平均タイムでも2位(28分50秒79)につけている。

 全日本選考会を突破した日体大と立大も通過は有力だ。日体大は前回4位通過したメンバー9人をエントリー。前回個人19位の山口廉を筆頭に4年生12人という構成で、安定したレース運びが期待できる。立大は4月から駒大出身の高林祐介駅伝監督が就任。スピード型のチームにスタミナが加わり、全日本選考会を初めて通過した。林虎大朗(4年)ら上級生が予選会の戦い方を熟知しているのも強みだ。

 資格記録によるエントリー10000m上位10人の平均タイム3位(28分51秒40)の東京国際大と同4位(29分00秒12)の日大も戦力を考えると通過は堅い。両校は留学生が超強力で、東京国際大のリチャード・エティーリ(2年)はハーフマラソンで59分32秒の学生記録を持ち、日大のシャドラック・キップケメイ(2年)は前回、1時間00分16秒で個人トップ。留学生は16人の出走が予定されているが、実力差は小さくない。両校は留学生で大量貯金が見込まれるだけに、他の選手が落ち着いてレースを進められるのもメリットだ。

滑り込むのはこの4校

 順当なら、残りは4校。大混戦が必至で予想は難しいが、あえて選んでみたい。

 まずは明大だ。予選会は過去3年間、1位、2位、2位で通過しており、非常に得意としている。綾一輝(2年)が外れたが、その穴は全員でカバーできるだろう。中央学大は選手層に不安があるものの、10000m27分台のエース吉田礼志(4年)、日本学生ハーフ2位の近田陽路(3年)で稼ぐことができる。それから神奈川大は1月から中野剛監督が就任。前回の予選会(7位)でチーム10位以内に入った選手が6人卒業するも、全日本選考会を7位で突破した。今回も難関をくぐり抜けると読んでいる。

 悩ましいが、ラスト1枠は順大と予想する。6月の全日本選考会で17位と惨敗。日本インカレ3000m障害を連覇した村尾雄己(3年)、関東インカレ1部10000m8位(28分13秒67)の玉目陸(1年)ら全日本選考会を走った5人を予選会のメンバーから外す大胆な采配で勝負に出る。そのなかで浅井皓貴(4年)、海老澤憲伸(4年)、吉岡大翔(2年)ら好選手を軸にしっかりと合わせてくるだろう。

 すでに10校を挙げたが、例年予想はすべて当たらない(※昨年の正解は13校中10校だった)。これから挙げる大学にも可能性は十分にある。

 留学生を擁して、前回通過を果たしている国士大、駿河台大、山梨学大は本当に僅差につけている。一方、前回10年ぶりの突破を果たした東農大はエース前田和摩(2年)が登録されておらず、厳しい戦いになりそうだ。

 他にも前回15〜19位の麗澤大、拓大、上武大、専大、日本薬科大はケニア人留学生を擁しており、今回もボーダーライン付近の勝負を繰り広げるだろう。なかでも麗澤大は全日本選考会で過去最高の13位に入っており、初出場のチャンスが十分にある。それから国立の雄・筑波大、陸の王者・慶大、近年レベルを上げている芝浦工大と明治学院大にも注目したい。

 日本人トップ争いは吉田礼志(中央学大4)、花岡寿哉(東海大3)、阿部陽樹(中大4)、山口廉(日体大4)、馬場賢人(立大3)、宮本陽叶(神奈川大3)、東泉大河(駿河台大3)あたりか。関東インカレ1部5000mで6位に入った岡田開成(中大1)の走りも楽しみだ。

2024年5月9日、 関東インカレ、男子10000mでの花岡寿哉 写真/千葉 格/アフロ


 天気予報では10月19日の立川市・昭和記念公園はレース中の気温が24〜26度ほどになる見込み。午前中は晴天で体感温度はかなり高くなるはずだ。レース中の気温が16〜18度だった前回のような高水準の戦いにはならないだろう。どのようなレースペースを設定するのか。選手の実力だけでなく、指揮官の“分析力”と“采配”が試される予選会になりそうだ。

 気象コンディションを考えると大波乱の予感十分。予選会の熱いドラマは9時35分にスタートする。

筆者:酒井 政人