地面に出来たくぼみを通ってレバノンからシリアに入境する親子/Louisa Gouliamaki/Reuters

(CNN)人道支援NGO、ノルウェー難民評議会(NRC)は17日、レバノンからの避難民が殺到する隣国シリアで、新たな人道危機が起きているとの警告を発した。

NRCによると、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエル軍の戦闘が続くなか、シリアにはこれまでに、レバノン人やレバノン在住のシリア人ら27万6000人あまりが逃げ込んでいる。子どもだけが送り出されたケースもある。

かつてシリアからレバノンへ逃れ、今また帰国を余儀なくされている人も多い。

NRCの中東・北アフリカ担当責任者は、「この地域で過去12カ月に3件目の人道危機になる」と述べた。

シリアでもともと続いていた危機が、さらに悪化する事態が懸念される。

同国では2011年から内戦が続き、レバノンで戦闘が始まる前から貧困と苦難が広がっていた。

国連のデータによれば、人口の90%以上が貧困ラインを下回る生活を強いられてきた。

今年5月の時点で、生命にかかわる支援を必要とする人口は全体の4分の3と、内戦が始まってから最大の割合を記録していた。

同責任者は、支援が需要に追いつかない状況に、避難民の大移動が重なったと指摘。国境を越えてくる数千世帯の家族は、安全な居場所を見つけ、子どもたちの最低限のニーズを満たすのに苦労することになると述べた。