スポニチ

写真拡大

 13、14日に行われたプロボクシング8大タイトル戦で勝利した選手らが15日、都内のホテルで会見した。WBOアジア・パシフィック・バンタム級新王者となったWBA、WBC世界同級3位の那須川天心(26=帝拳)は14日の転向5戦目で3―0の大差判定勝ちして自身初のタイトルを獲得し、国内での世界挑戦権を手にした。所属ジムの本田明彦会長(77)は那須川の来秋の世界挑戦を明言し、順調にいけば8戦目で世界進出するプランを明かした。

 キックボクシングから転向後初のベルト獲得から一夜。那須川は、どこまでも自然体だった。会見時にテーブルに置かれたベルトを前に「昨日、控室に忘れていた。(担当トレーナーの)粟生さんが持っていてくれたらしい」とおどけ「獲れたことはうれしく思うが、目指しているのはこれではない。しっかりと重みも受け取りながら、また次に進みたい」と次なるステージを見据えた。

 前夜にバッティングで負傷した左目上には、ばんそうこうを貼って登場した。リング上では「俺の大事な顔を傷つけやがって!顔で売ってんのに!」と冗談めかして大絶叫したが、会場は静寂に包まれた。「あそこは笑ってほしかった」と顔を赤くしながら振り返り、負傷箇所は縫合して経過を観察する方針。「それと同時に顔も整形しちゃおうと思う」と話し、笑いも誘った。

 そんな型破りな“神童”の世界挑戦がいよいよ現実味を帯びてきた。所属ジムの本田会長は世界挑戦の時期について「来年の秋にはやらせます」と明言。デビュー当初の方針「10戦目での世界挑戦」は早まり、プロ8戦目での挑戦が濃厚。それまでにノンタイトル戦2戦をこなす方針で、次戦は来年の2月ごろに行う予定だという。

 周囲を納得させる成長曲線を示し、前倒しで挑戦権をつかんだ那須川は「変則的なパートナーだったり、そういった選手ともやっていきたい」と12月ごろ米国でスパーリング合宿を敢行する。初のタイトルに満足せず、さらなる高みを目指し続ける。