日本代表は15日、北中米W杯アジア最終予選第4戦でオーストラリア代表と対戦する。森保一監督とMF守田英正(スポルティング)が14日、試合会場の埼玉スタジアム2002でオンライン前日会見を行った。

 以下、試合前日の森保一監督会見要旨

●森保一監督

「明日のオーストラリア戦に向けて、サウジアラビア戦から長距離移動等々あったが、選手もチームとしてもいい準備をしてこられている。明日の試合に自信を持って、ホームで勝利を目指して全力で戦ってほしいと思う。これまで最終予選で3連勝してこられているが、この3連勝が明日の勝利を約束してくれるものではない。気を引き締めて準備してきたことを明日の試合に思い切ってプレーしてほしい」

●MF守田英正(スポルティング)

「サウジアラビアですごく良い戦いができて、アウェーから帰ってきて、サポーターの方々の期待がすごく高まった中でのホームゲームなのでしっかり勝ち切りたいし、勝って代表ウィークを終えたい」

-(森保監督に)選手の話を聞いているとW杯に向けての大事な試合になる中、勝利を大前提としても、自分たちに目を向けて戦術を突き詰めていくことにフォーカスしていると聞く。どういう部分を上積みして最終予選を戦っているか。

森保監督「選手が言っている通りかなと思う。一戦一戦、毎回の活動を積み上げながら成長しながら大きな目標に向かっていくということを選手たちがやってくれている。W杯で世界一になるという大きな目標を持ちながらも、その前にまずはアジア予選を突破しなければいけない。アジア予選を突破するためには一戦一戦最善の準備をして全力を尽くす、勝利を積み重ねて、アジアを突破しないといけない。大きな目標、大きな志を持ちながらも目の前の一戦に全力を尽くすことを選手たちがやってくれていると思う。今回の活動も、これまでの活動も、勝利を目指して、その一戦に全力を尽くすというのはもちろんだが、日々のトレーニングから個々のできること、そしてチームとしてできることを選手たちはプロセスにこだわりを持って、日々明日につなげる、次につなげてくれている」

-(森保監督に)相手が背番号を変えてやりづらくしてきたのはあったが、CKの守備でフリーの選手を作ったところがあった。相手が工夫をしてきたわけではなくてもフリーを作ってしまった理由は。

森保監督「セットプレーだけではなく、いくつかのミスはあったと思う。ミスではなくても相手も力のあるチームなので、我々が後手を踏むシーンもあった。全てパーフェクトにできるように改善をしていかなければいけないと思う。原因としては試合前にできるだけ我々が選手にどういうことが起こりうるかを伝えておくことが必要だと思う」

-(守田に)これまでは遠藤が前日会見に出ていたが、出たいという話をして出てきたのか。

守田「監督から指名いただいたので今日は来させていただいた。こうしたプレスカンファレンスは日本代表においてはこれまでそう機会はなかったが、個人的にクラブであったり、こういう場に出て話す機会は今までも何度かあったので抵抗はないし、むしろ楽しんでいます」

-(森保監督に)森保一監督はトニー・ポポビッチ監督と広島で同僚で、ポポビッチ監督は現在もキャプテンと呼んでいる。ウェスタン・シドニーにいた時に訪ねたと聞いているが、現在の関係は。

森保監督「ポポとは非常にいい友達関係を今も続けている。時々連絡も取り合っている。サンフレッチェ時代にプレーヤーとして共に戦ったチームメートで、本人はキャプテンと呼んでいると皆さんにお伝えしたようだが、彼は同時にポイチとも呼んでいます(笑)。私が広島の監督を辞めた後、浪人している時、フリーでいる時にポポビッチがウェスタンシドニーの監督をしていて、フォクシー(フォックス氏)がコーチをしている時に連絡を取って、2週間ほど研修をさせてもらった。監督をさせていただいた後のリフレッシュと、監督業を続ける刺激をたくさんもらった」

-(守田に)非常に得点に絡んでいるので、明日の試合も得点に絡む期待が高まっているが。

守田「直近の試合で結果を残せているのはすごく嬉しいけど、今までも同じ気持ちを持ちながら試合に臨んでいたので、姿勢は変わらない。自分のプレーの選択は変わらない。一貫してチームの勝利に貢献することだけを考えて明日の試合に臨みたい」

-(森保監督に)オーストラリアは監督が代わって1試合しかやっていないので、分析力を発揮する機会が1試合しかないと思うが、どう対策を考えているか。

森保監督「オーストラリア代表は監督が代わって分析する試合が1試合しかない状況だが、その1試合で何をやろうとしているかはできるだけ分析して、我々の対策につなげていきたいと思っている。チームとしてやりたいことがどれだけわかるかはわからないが、個人はこれまでもオーストラリア代表として戦っている選手であったり、ポポビッチ監督がAリーグで見たりしている選手が多い。選手個々の情報はしっかり取れているので、そこを相手の特徴をできるだけ出させないように我々が上回っていく準備をしていきたい。戦術的に4バックも3バックも使える監督で、何を対策してくるかはいろんな事を考えてやってくると思うので、1試合だけの情報に囚われず、他のことも起こりうるということも準備したい。何よりもポポビッチ監督は戦う魂、激しく厳しく、個々でハードワークすることを選手たちに植え付けることができると思うので、明日の試合は局面局面の戦いからチームとしても戦っていけるようにメンタルの準備をしっかりしないといけない」

-(森保監督に)最終予選の3試合ではシャドーだけ先発を変えているが、どのような基準で変えて送り出しているのか。

森保監督「基準としては誰が出ても試合に勝てるメンバーが揃っていると思うが、その中でもコンディションやグループでの機能性等々も含めて勝つためにベストな選手が出ることで、チーム編成、先発を決めさせていただいている。練習する期間がないので、W杯出場がかかった最終予選で多くを試すことはできていないが、交代枠を含めて、トレーニングの中で我々がより誰が出ても勝つ、誰と組んでも機能するところは常に準備している」

-(守田に)攻守両面の試合のポイントは。

守田「明日の試合に限った話ではないが、攻守ではまず先制点というところが試合のキーポイントになる。サウジアラビア戦は2-0で終えたが、自分たちの時間帯じゃない中でも守り切ってゼロに抑えたのが自分たちの勝ち試合に持って行けたポイントだと思う。セットプレーも次の試合は身長の高い選手が多く、エアバトルの部分であったりセットプレーがキーになるので、負けないように準備してきたし、全く違う戦いになると思うので先制されずにこっちが先制できればよりホームの利が得られるのかなと思う」

-(森保監督、守田に)ここ15年間、オーストラリアは日本戦で勝利を挙げていない。特にアウェーでは勝てていない。日本代表にとってメンタル的なアドバンテージがあるか。

森保監督「過去のデータという部分はもちろんあると思うが、明日の試合に関してはそのデータが勝たせてくれるものではない。ホームで勝利するために最善の準備をして、試合の中で我々が持っている力を最大限に発揮することが大切だと思う。データ上は有利なところがあるが、今のオーストラリアの状況を考えた時、これまで勝てていない、監督交代をして非常に危機感を持って挑んでくると思うので、我々自身が彼らが挑んでくるところを警戒し、臨まないといけないと思う。選手たちには対戦相手のことを警戒し、緊張感を持ってもらうことはもちろん、自分たちはできるんだということ、高い志を持ってもっとトライしてもらえるように我々が挑みたいと思う」

守田「データはあくまでもデータ。それが僕たちの勝利を裏付けるものではないし、それを保証するものではない。前回大会は僕たちが良いスタートを切れず、ホームのオーストラリア戦に絶対に勝たないといけないということで死に物狂いで勝利を目指して戦ったし、今回は相手がそういった気持ちでくると思うので、それを跳ね返すメンタリティーが必要になると思う」

-(森保監督)先日、日本被団協のノーベル平和賞受賞についてコメントを出していたが、オーストラリア戦でスポーツができる意義をどう考えているか。

森保監督「スポーツができる意義、いまみなさんとこうしてコミュニケーションを取らせていただく、記者会見の場ができるのは平和な世界があるから。戦争や紛争をしている地域ではこのような穏やかな時間はなかなか取れないと思う。シンプルに我々が好きな事をやれる、スポーツをやれるのは平和があるから。そのことを我々自身が胸に刻み、見ている方にも機会があれば平和について考えていただくことにつながれば嬉しい。戦争や紛争の大きな問題ではなく、日常から相手のことを尊重し、意識していい関係を作っていく、お互いを尊重することが大切だと思うし、スポーツの中、サッカーの中では勝ち負けを競い合うことになるが、ルールがあって、その中にお互いを流スペクトしながら競い合うということをいろんな方に見ていただき、スポーツから平和を発信することにつながればと思う」

-(森保監督、守田に)快調なスタートが切れている要因は。

森保監督「いまバランスがいいところは危機感と誇りというところ。より高みを目指していくところと、1試合1試合で勝利を目指して戦っていく、レベルアップするところがバランスが非常にいいと思っている。選手たちはほとんどがヨーロッパの世界の競争力の中で戦っていて、もちろん国内組も世界の競争力、外国人がいる中で戦っているが、そこでより高いレベルで戦っている、誇りを持ってさらに上を目指していくところ、そして相手を見下すことなく1試合1試合緊張感を持って警戒心を持って試合に臨んでいくところが、誇りというところと緊張感を持って日々前進していくというところ、試合に向かっていくところのバランスが非常にいいのかなと思う」

守田「アジア杯の時から僕が思うのは、この代表が森保さんを中心としていまチームがスタートしていて、高いレベルで要求し合える関係になってきたなと思う。チーム内のルール、秩序がもちろん大前提にあった中、個々のキャラクターの個性であったり、考え方であったり、その違いをともに共有する機会が以前よりも増えてきたと思う。お互いのスタッフと選手の関係値がいまいいものだなと思うし、いまは一番、チーム力という意味では一体となってきていると思う。僕は森保さんが就任されて1年目から招集していただいているが、これは僕が調子いいからとかではなく、僕はチーム力は今が一番良いのかなと思う。ただ完成ではない。今後もっとよくなっていくと思うし、関係という部分においてもよりいいものになっていくので、ぜひ期待していただければと思う」

(取材・文 竹内達也)