30代で地方公務員の夫は「手取り30万円」です。私が扶養内でパートをする場合「年収」はいくらにおさえるべきでしょうか?

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夫の扶養内で働く場合、年収の壁が気になり働き方を考える方も多いでしょう。扶養に入っていれば、健康保険料などの社会保険料を支払う必要がないため、手取りは額面とほぼ変わりません。 しかし、扶養を外れる「年収の壁」を超えると、働き方によっては額面より手取りが減り、働き損になってしまう可能性もあります。 本記事では、扶養内でパートをする際に年収はいくらにおさえるべきか解説します。年収の壁に悩んでいる方、最適な働き方を検討中の方はぜひ参考にしてください。

30代の地方公務員の平均的な給与

総務省の「令和4年地方公務員給与の実態」によれば、30代の地方公務員の給与は以下の通りです。年収は給与×12ヶ月+ボーナスで算出します。ボーナスは年齢により多少ばらつきがある可能性がありますが、一般行政職の155万9968円とします。


・28~31歳:30万8650円(年収526万3768円)
・32~35歳:34万4062円(年収568万8712円)
・36~39歳:38万7009円(年収620万4076円)

手取りにすると約410万円~約480万円で、月額にすると約34万円~約40万円です。今回の事例のように、30代の地方公務員で手取り30万円の場合は、若干ですが少ない可能性があります。
 

パートに出る場合年収はいくらにおさえるとよい?

世帯によって増やしたい年収は異なります。しかし、妻の年収がある金額を超えてしまうと税金や社会保険料などが天引きされ、手取りが少なくなってしまいます。パートなどの方は、働き損にならないために「年収の壁」の中におさまるように働くとよいでしょう。
年収の壁にはさまざまな種類がありますが、おもに「税制上の壁」と「社会保険上の壁」に分けられます。
 

【税制上の壁】

・「100万円の壁」:住民税の支払いが発生する年収
・「103万円の壁」:所得税の支払いが発生する年収
・「150万円の壁」と「201万円の壁」:配偶者特別控除に影響する年収

 

【社会保険上の壁】

・「106万円の壁」:厚生年金と健康保険への加入が必要になる年収
・「130万円の壁」:国民年金や国民健康保険への加入が必要になる年収

扶養内で働く際は、これらの年収の壁を意識するとよいでしょう。しかし、令和5年より「年収の壁・支援強化パッケージ」が開始されたため、たくさん働いても手取りが減らない環境を企業が整えている場合もあります。
おもに、社会保険上の壁に当たる「106万円の壁」と「130万円の壁」における対策になります。そのため、求職中の場合は、その会社が「年収の壁」の改善の取り組みを行っているかあらかじめ確認してみるとよいでしょう。
さらに、もし「年収の壁」によって手取りが減ったとしても、将来受け取れる年金が増えたり、傷病手当金や出産手当金が受け取れたりするといったメリットもあります。メリットとデメリット、また希望する年収などから総合的に検討してみましょう。
 

扶養内でパートをする場合は「年収の壁」を意識しましょう

事例の夫は、30代地方公務員のなかでも少し手取りが少ない可能性があります。そのため、妻がパートに出て世帯年収を増やすことも選択肢のひとつでしょう。
しかし、妻の収入が「年収の壁」を超えると働き損になったり、夫の税金負担が増えて夫の手取りが減ってしまったりするかもしれません。そのため、パートの年収がいくらになるか、あらかじめ計算し「年収の壁」を超えないような働き方にするとよいでしょう。
とはいえ、「年収の壁」を超えることにはメリットも存在します。勤務をする会社が「年収の壁」への対策を行っている場合もあるため、長い目で見てどちらの方が自分にとってよいか検討するとよいでしょう。
 

出典

総務省 令和4年地方公務員給与の実態 第7表の2 職種別、年齢別、学歴別職員数及び平均給与月額(364ページ)
総務省 令和4年地方公務員給与の実態 第5表 職種別職員の平均給与額 1 団体区分別(1)全地方公共団体-2(254ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー