2024年1-9月のラーメン店の倒産が47件(前年同期比42.4%増)に達し、集計を開始して以降で年間最多の2023年(1-12月)の45件を抜いた。ラーメン店は、食材代や運営コストの高騰に見舞われ、前年同期の4割増のハイペースをたどっている。このペースで推移すると年間60件を超える可能性も出てきた。

 倒産したラーメン店のスープの種類は、「醤油・中華」が27.6%、「とんこつ」が21.2%、「みそ」が14.8%で、ジャンルを問わず、ラーメンファンを味と量、価格で引き付けなければ生き残りが難しいことを示している。

 

 ラーメン店は参入障壁が低く、開店しやすい。だが、参入が容易な反面で廃業率が高く、生存競争は厳しい。コロナ禍では街から人流が減り、来店客の減少と休業要請などで厳しい環境に置かれた。ただ、持続化給付金やゼロゼロ融資などのコロナ関連支援策に支えられ、2022年の倒産は21件まで減少していた。

 

 ところが、コロナ禍が落ち着き、経済活動が平時に戻ると人流が活発になった半面、物価高や人手不足などの深刻な問題が同時に押し寄せた。食材費などの物価高や光熱費上昇、人件費上昇などのコストアップに対し、提供価格は「1,000円の壁」に阻まれ、値上げもままならない四面楚歌の状況に追い込まれている。

 

 過去最多を更新中の2024年1-9月のラーメン店の倒産原因は、販売不振が35件(構成比74.4%)と7割を超える。負債額は1億円未満が42件(同89.3%)、従業員数は5人未満が42件(同89.3%)で、小・零細規模のラーメン店がコストアップと売上不振に喘いでいる状況が浮かび上がる。

 

 都道府県別では、東京都(前年同期5件)、千葉県(同1件)、神奈川県(同1件)の首都圏が各5件で最も多い。次いで、大阪府4件(同3件)、石川県3件(同1件)と続き、新規参入が多く競争の激しい都市圏が目立つ。業歴判明分は、10年未満が19件(構成比57.8%)と6割近くを占める。

 

 ジャンル別では、鶏ガラベースの醤油や中華そばなど「醤油・中華」が13件(同27.6%)、「とんこつ」が10件(同21.2%)、「味噌」が7件(同14.8%)、「塩」が4件(同8.5%)など、満遍なく広がり、店舗数の違いを考慮するとスープによる差はさほどないと思われる。

 

 今後は、質と価格を求めた仕入ルート開拓、味や盛り付けによる差別化、オペレーションの効率化など、時代を生き抜くセンスを極めないとラーメン店の淘汰はさらに加速する可能性が高い。

※ 本調査は、日本産業分類(細分類)の「ラーメン店」を抽出し、集計開始の2009年から2024年までの倒産を集計、分析した。