ブルーインパルス伝説のフライト!世界の小澤征爾を信じて…「長野五輪」超難関ミッション

写真拡大 (全10枚)

9月29日(日)に放送した、日曜ビッグバラエティ「超スゴ!自衛隊の裏側ぜ〜んぶ見せちゃいます! テレビ初公開連発SP」。

自衛隊全面協力のもと、陸・海・空のさまざまな現場を徹底取材! スタジオに博多華丸・大吉、北乃きいを迎えて自衛隊の活動をわかりやすくお届けする。

「テレ東プラス」では、「世界を驚かせた!ブルーインパルスの超難関ミッション」の内容を紹介!

【動画】ブルーインパルス超難関ミッション!世界の小澤征爾を信じて…「長野五輪」で魅せた伝説のフライト

航空自衛隊が誇るアクロバット飛行チーム、ブルーインパルス。1960年の創設以来たくさんの人に勇気と感動を与えてきたが、前人未踏の超難関ミッションに挑戦した過去がある。


それは、1998年の「長野オリンピック」開会式。世界の小澤征爾指揮によるベートーヴェン「交響曲第九番(通称:第九)」の5大陸同時中継合唱が最後を飾ることになったが、その演奏が終わった瞬間、ブルーインパルスが会場上空を駆け抜けることに。
この特命が下されたのは、開会式からさかのぼること8ヶ月前。披露する演目は、1964年の「東京オリンピック」開会式と同じ、空に五輪マークを描く「オリンピックシンボル」に決定した。しかし! ある事情により、演目を変更せざるを得ない状況に…。


実は、空に描く五輪マークは横幅が6キロメートルにもなるため、会場から完璧な五輪を見せるには、上空3000メートルを飛行しなければならない。しかし、冬の長野県は雲が低く、高度300メートル程度しか飛べないことが判明したのだ。
その高さで五輪マークを披露しても、会場から一つの円が見えるかどうか。開会式が迫る中、演目決めは振り出しに戻ってしまった。


1998年当時、ブルーインパルスの技の数は40以上。何度も議論を重ね、披露するのは「レベルオープナー」に決定した。水平飛行した5機が一気に扇状に広がる技で、5色のスモークで五輪カラーを表現することができる。

演目が決まったものの、課されているのは合唱終了と同時に会場上空に登場するという超難関ミッション。時速300キロものスピードで飛行しながら、完璧なタイミングで技を披露しなければならない。


大会側からは「聖火台の真上で披露してほしい」というリクエストも。しかも、開会式が行われる会場上空でのリハーサルはたった1日で、演奏と一緒にリハーサルすることはできず、ほぼぶっつけ本番。ミッションを遂行すべく、隊員たちはトラックを聖火台に見立て、最も美しく見えるタイミングを訓練した。
そんな状況の中、想定外のトラブルがブルーインパルスを襲う!


それは、時間のズレ。考えていたプランでは、会場近くの上空を旋回しながら待機して、会場にいる隊長の号令で会場へ向かうはずだった。
しかし、開会式の全体リハーサルを行うと、数々のイベントが数分ずつ前後し、目標到達時刻が読めない状況に。この最大のピンチを乗り切った鍵は、世界のオザワだった。


世界のオザワが指揮する「第九」の合唱は、どれだけリハーサルを重ねても毎回17分16秒で、ほぼ誤差がなかった。そこから逆算し、「第九」の演奏スタートから17分16秒後を会場上空への到達目標時刻に設定。ブルーインパルスは、世界のオザワの正確さに賭けたのだ。

そして迎えた開会式本番。大相撲・幕内力士の土俵入りや選手入場などで観客が沸く中、隊長は会場からパイロットたちに無線で状況を伝えた。
ブルーインパルスは待機場所の上田市上空で待機し、午後12時45分、ついに「第九」の演奏がスタート!


この時、隊長の隣で必死にペンを走らせる隊員の姿があった。
楽譜を読める隊員が、リアルタイムに演奏を聴きながら楽譜を追いかけ、演奏終了予定時刻を計算。これをもとに、隊長が会場に到達すべき時刻を算出する作戦だ。


目標到達時刻の5分前、ついにブルーインパルスは上田市上空を離脱して五輪会場へ! 当時の隊員たちは、「もう余計なことは考えず、フォーメーションを維持することに集中」「決められたポジションから絶対に動かないつもりで操縦していた」と振り返る。

そして、演奏終了直後…


見事にミッション大成功! いくつもの試練を乗り越えて実現したこの光景に、世界中が心を打たれた。

この他、ブルーインパルス史上初の海外遠征&アメリカでの航空ショー! 他国から嘲笑される中、世界を見返した隊員たちの努力とは? 「TVer」、「ネットもテレ東」でチェック!