2017年11月7日、京畿道平沢(ピョンテク)の在韓米軍基地キャンプ・ハンフリーズを訪問し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が見守る中、韓米の将兵の前で演説するトランプ大統領。 青瓦台写真記者団

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トランプ氏の大統領在任中に国家安全保障補佐官を務めたロバート・オブライエン氏が26日(現地時間)、「中国とロシアはもちろん、北朝鮮とイランの核プログラムは米国より先を進んでいる」とし「我々は核(保有競争)ゲームに復帰しなければいけない」と主張した。オブライエン氏はトランプ氏が当選した場合の有力な国務長官候補の一人に挙がっている。

オブライエン氏はこの日、ワシントンで米企業研究所(AEI)が開催した対談で「北朝鮮とイランははるかに多くの遠心分離機を使用している」とし「米国の核兵器能力を高める必要がある」と述べた。核による力の優位を占めるため米国も核実験などを中断するべきではないということだ。

これはトランプ氏の側近らに共通する認識に近い。トランプ氏が当選する場合、ホワイトハウス国家安全保障補佐官候補に挙がっているエルブリッジ・コルビー元国防総省戦略・戦力開発担当副次官補も4月の中央日報のインタビューで「北朝鮮とイランも核能力を保有する状況で、米国だけが(核縮小)規範を守る『罰』を受けることはできない」とし「むしろ後れを取った核均衡のために核兵器をより多く作らなければいけない」と主張した。

またオブライエン氏はこの日の対談で、韓国の国防費負担を増やすべきだとしながら具体的な数値を提示した。オブライエン氏は「日本も国防費を大きく増やし、韓国の国防費も国内総生産(GDP)比2.5%に達する」としながらも「米国が負担を分担できるよう(韓国も)米国のように(国内総生産比)3%から3.5%まで高めるべきだ」と述べた。

米戦略国際問題研究所(CSIS)のアラン・キム研究員はこの日に出した報告書「2024米大統領選挙のグローバル影響」で、韓国が対米貿易で大規模な黒字を出している状況に言及しながら「トランプ氏は韓国が毎年負担する10億ドル規模の在韓米軍駐留費用は十分でないと考えるはず」という見方を示した。韓国政府がトランプ氏の当選に対応して防衛費交渉をバイデン政権と妥結しようとする動きについては「トランプ氏を怒らせ、トランプ氏が当選すれば韓米関係が最初から良くない方向に向かう可能性がある」と懸念した。

キム研究員は特に、トランプ氏が当選した場合に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と「ラブレター」交換を通して核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の永久的猶予を得る代わりに、北朝鮮との終戦を宣言して北朝鮮を事実上の核保有国と認める可能性があるという見方を示した。

一方、オブライエン氏は同盟外交を「取引」で考えてきたトランプ氏が韓米日協力の強化などに否定的な認識を持つという一般的な観測とは違い、「尹錫悦大統領と岸田文雄日本首相、バイデン大統領のキャンプデービッド首脳会談に対するバイデン政権の功労を認めている」と述べた。AUKUS(米国・インド・オーストラリア・日本)同盟、フィリピンとの相互防衛条約などについても「こうした同盟は中国を恐れさせる」と評価した。

ただ、バイデン政権でのこうした外交・安保的成果について「我々の政府(トランプ政権1期目)が日本に好意的でなかった文在寅大統領と難しい環境の中でも同盟を維持して軌道に乗せたため」と主張した。