とちぎテレビ

全国で自動車の盗難が社会問題になっていますが、2024年に入り個人宅だけではなく、大量の自動車が保管されている自動車販売店などを狙うケースが相次いでいます。

県内では8月、大田原市の自動車販売店から車11台が盗まれる事件が発生していて、その手口の一部始終と対策を取材しました。

事件は8月19日の未明、大田原市の自動車販売店で発生しました。

防犯カメラには、午前1時ごろから午前3時ごろまでの間に、複数の人物が店の車を物色する姿や次々に車に乗って走り去る様子が。盗まれたのは店の試乗車や中古車など人気の車種を含む11台で、被害額はおよそ3千万円にのぼるといいます。

犯行後に店長が事務所を訪れると、車の鍵や現金などを保管していた金庫は、扉の一部が切り取られ書類が散乱していました。

また、車が盗まれた駐車場には、大量の鍵が放置されていて、そのそばには犯人が持ってきたとみられるスマートキー用の電池が入ったケースも残されていました。金庫に入っていたスマートキーなどは、電池を抜いて保管していたことから、犯人たちは用意してきた電池を鍵に入れて犯行に及んだと見られています。

店長は盗まれた車を取り戻そうと警察に被害届を出したほか、SNSや動画投稿サイトなどを通じて盗まれた車に関する情報提供を求めました。その結果、多くの人の協力もあり、8月30日までに盗まれた11台すべてを見つけることができたといいます。

車のほとんどはコインパーキングから見かっていて、その場所は那須塩原市や佐野市、埼玉県さいたま市などと広範囲に及びました。

店長は、防犯カメラの映像などから、犯人は少なくとも7人以上いると見ています。

また、防犯カメラにはこんな音声が。話している言葉はベトナム語とみられていて、店長は外国人グループによる犯行の可能性があると話します。

さらに、見つかった車のうち2台のドライブレコーダーに、車が盗まれたあとの様子が残されていました。

そこには、ベトナム語で「この車を売ったらかなり儲かる」や「売って得た金を仲間と山分けする」という内容の会話が録音されていました。また別の車のドライブレコーダーには、ベトナム語を話す人物が車を運転している様子や、車がキャリアカーに乗せられて移動している場面、さらに途中から話している言葉がカンボジア語に変わった様子などが断片的に収録されていました。

警察は、防犯カメラやドライブレコーダーの映像などから犯人の特定を急いでいます。

自動車が大量に盗難される事件は、千葉県の成田空港近くの駐車場(9台)や群馬県沼田市の自動車販売店(12台)など関東で相次いでいます。

県警によりますと、自動車盗難は県内では2024年に入ってから8月末までに206件確認されていて、2023年の同じ時期より20パーセントほど増加しているということです。

警察は、車種に関係なくどんな車でも盗難にあう可能性があるとして注意を呼びかけています。さらに、犯行の前には下見が行われることがあるとして不審な人物を見かけた場合は警察に通報してほしいといいます。

実際に大田原市の自動車販売店でも事件の1カ月ほど前からこれまで見なかった不審な外国人の姿を目撃していたといいます。

今回の事件を受けこの店では、機械警備を導入したり、カギの管理方法を変えたりして再発防止に乗り出しました。

『朝起きたら車がなくなっていた』そんな被害をなくすために、1人ひとりの当事者意識を持った対策が求められています。