「ちくわ」ってちゃんと栄養あるの? 管理栄養士に聞いてみた結果
中心部分に穴が空いた見た目が特徴的な練り物「ちくわ」。そのまま食べられる手軽さと、アレンジの自在さから、おかずやおつまみに活躍する食材です。一方で、「ちくわの栄養ってよく知らない…」「ちゃんと栄養あるの?」「あまり栄養価が高くないイメージ」など、栄養に関しては疑問の声もあるようです。実際のところはどうなのでしょうか。ちくわの栄養について、管理栄養士の岸百合恵さんに聞きました。
良質なタンパク質が多い半面…
Q.そもそも「ちくわ」とはどんな食材ですか。
岸さん「ちくわは、魚肉のすり身に卵白やデンプン、調味料などを加えて練り、棒に巻き付けて焼いたものです。使われる魚の種類はスケソウダラ、イトヨリダイ、ホッケ、アジといった魚が使われ、その種類はメーカーによって異なります。
ちくわは大きく分けると、細くて短く、両端が白くて中央部に焼き色がついた『生ちくわ』と、太く長めで、水玉模様のように焼き色がついた、味が染み込みやすい『焼きちくわ』があります。生ちくわは主に生食用として、焼きちくわは煮込み用として用いられます。
味がしっかりとついており、加熱されているため調理なしで食べることが可能なちくわは、そのまま食べればコシのある食感があり、おでんや煮物にすれば煮汁を吸ってふっくらジューシーな味わいになります」
Q.「ちゃんと栄養あるの?」といった声も聞かれますが、ちくわに栄養は含まれているのでしょうか。
岸さん「ちくわは、原料が白身魚であることから、良質なタンパク質が含まれている『高タンパク低脂質』の食品です。100グラムあたり107キロカロリーで、タンパク質は13.2グラム、脂質が0.4グラム含まれます。メーカーによって重さは異なりますが、5本セットで販売されているちくわの場合、1本(約30グラム)あたり32キロカロリーで、タンパク質は4.0グラム、脂質は0.1グラムです。
その他、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンC、鉄分なども少量摂取することができ、塩分は1本あたり0.8グラム含まれます」
Q.ちくわの栄養を効率よく摂取できる調理法や食べ方、注意点とは。
岸さん「ちくわは、良質なタンパク質が多い半面、塩分も多く含まれています。厚生労働省が定める1日の食塩摂取量は、男性7.5グラム未満、女性6.5グラム未満なので、1袋(5本入り)を全て食べると、ちくわだけで1日の食塩摂取量目安の半分以上を取ってしまうことになります。
塩分の多いちくわと一緒に取った方がよいものとしては、カリウムを多く含む野菜やキノコ類、果物、海藻類が挙げられます。これらを意識して組み合わせるとよいでしょう。カリウムは余分なナトリウムを排出しやすくするので、取り過ぎた塩分を調節してくれます。
また、ちくわは塩分が多いですが、その分、味付けに使う調味料を抑えることができるので、使い方によっては全体の塩分量を減らせる場合もあります。煮物などに使用すると、煮汁に塩気とうまみが広がるので、薄味で調理してもおいしく仕上げることができます。
すり身で作られるちくわは消化・吸収がよく、魚が苦手な人や高齢者にも食べやすいので、よいタンパク質源になります。とはいえ、ちくわだけをタンパク源にしてしまうと栄養が偏るので、足りないタンパク質を補う程度に摂取するのがよいと思います。
ちくわの穴にキュウリを入れるのはおなじみの食べ方ですが、棒状に切って加熱したニンジンやインゲンなどを詰めると、カラフルな断面で見た目も華やかになります。また、ひじきや切り昆布の煮物などにちくわを加えるのもおすすめです。どちらも、カリウムを一緒に摂取できますし、タンパク質を補うのにもちょうどよいので、お弁当の隙間を埋めるおかずにしたり、作り置きにしておいたりすると便利ですね」