昨今の物価高騰でだれもが節約を意識するようになりました。節約を長く続けるうえでも、メリハリをつけたお金の使い方も大切になります。高齢者向けの3DK団地で節約生活をモットーにしている美術エッセイストの小笠原洋子さんは、1日1000円のルールで暮らしています。たまには気晴らしも必要であると語る小笠原さんの、お金の使い方について教えてもらいました。

たまの外食も、気晴らしになり安上がりになることも

年金暮らしの私には、経済的余裕もそうありませんが、時々外食もします。家族が多ければ手料理のほうがずっと安上がりかもしれませんが、ひとり暮らしの私の場合、必ずしも手料理が安上がりとはいかないからです。わずかひとり分の料理をつくるとなると、ときには外食よりお金がかかることもあります。

【写真】480円のざるそば

残り物やあり合わせ食は別にしても、おいしさを求めて手の込んだ料理をつくったり、食材不足のため買いたしに行ったりすれば、外食のほうが安くすむこともあるのです。

また、宅配を頼むよりは外食のほうがお得です。なにより家にこもりがちの私の場合は、外気に当たる気晴らしが必要なので、精神衛生上、あえて家以外の場所での食事を楽しむようにしています。

1日1000円ルールのなかでも、気晴らしになるのがおそば屋さん

1日1000円というルールのなかで暮らしているので、その範囲内で楽しんでいます。

たとえば外出のついでに、おそば屋さんなどで気軽に食べて帰れば意外に経済的です。早めの夕食を外食にすれば、お店もすいていて気分爽快。食の楽しみは環境を変えることでも倍増します。私の場合は昼食を家で軽めにとって、夕飯を外食で〆るというパターンが多く、当然その後の夜食などは無用になります。帰宅したら歯磨きまですませてしまい、家では出せないそばつゆの味などを思い出しながら、ゆったりと夜を過ごすのです。

現代社会では、だれもが気晴らしや上手な休息が必要でしょう。気晴らしにもいろんな種類がありますよね。運動や軽いストレッチや入浴などは、身体的な気晴らしになり、栄養バランスの見直しは体へのいたわりになります。人々との交流や森林浴による気分転換。洋服を着替えたりお化粧を変えたりすることも新鮮な気持になるものです。

もちろん絵を描いたり手芸をするといった趣味や、音楽や映画などの娯楽などもありますね。金銭的余裕のない人でも、鼻歌を歌ったり、瞑想までいかなくても、ちょっと想像力を膨らませて、現実以外に気を向けることが休息になります。

というわけで極力お金のかからない娯楽を求める私は、三度の食事に中に小さな楽しみを見つけるために、「外食そば」という娯楽を選んだのです。

おそば経済的で、心の休息になる理由

そばといえば、とても栄養価の高い穀物です。炭水化物だけでなくタンパク質やビタミンBにE、ポリフェノールの一種であるルチンや必須アミノ酸が多く含まれています。とくにそば湯はそれらの凝縮液ですね。私はなによりおそばの味や色やもつ「渋い風情」が気に入っていて、口にするたび日本人の美意識を味わう心地がするのです。

なかでも素朴なもりそば(500円ほど)がいちばん好きですが、栄養面から考えて一品足す場合は、チクワ天(100円)など。またはキツネそば(5〜600円)を頼むこともあります。

栄養価も高く、私にとってとても満足度が高いのがおそばなのです。今こそおそば屋を訪れて、心の休息をはかりたいと思っています。