by Masahiko OHKUBO

東芝のメモリ事業を分社化して設立された半導体メーカーのキオクシアが、東京証券取引所への上場の申請をしたことがわかりました。関係者によると、早ければ2024年10月中の上場を目指しているとのことです。

Japanese chipmaker Kioxia files for Tokyo’s biggest IPO of the year

https://www.ft.com/content/4fdc9030-dcde-47b1-a0a0-72e502ead799

NAND Flash Maker Kioxia files for IPO at expected $10.3 billion valuation | Tom's Hardware

https://www.tomshardware.com/pc-components/ssds/nand-flash-maker-kioxia-files-for-ipo-at-expected-dollar103-billion-valuation

キオクシアはSamsungとSKハイニックスに次ぐ世界第3位のフラッシュメモリーメーカーで、記事作成時点ではベインキャピタルとSKハイニックスによって設立された特別目的事業体が株式の56%を、東芝は41%を保有しています。

報道によると、キオクシアは東京証券取引所に新規株式公開(IPO)を申請し、2024年10月にも上場を果たす予定とのこと。Financial Timesによると、キオクシアは少なくとも5億ドル(約720億円)の資金調達を目指しており、評価額は100億ドル(約1兆4370億円)を超える可能性がある模様。IPO後も、同社はベインキャピタルやSKハイニックス、東芝に引き続き所有されますが、ベインキャピタルと東芝は上場後に出資比率を徐々に減らしていく予定とのことです。



今回のIPOはキオクシアにとって2度目の上場挑戦となります。キオクシアは2020年に上場を計画していましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生と米中貿易摩擦の激化による不透明感から延期に。2023年10月にはアメリカのデータストレージメーカーであるウエスタンデジタルとの合併交渉が行われましたが、成功間近で破綻しました。

Financial Timesは「今回の上場申請は、事業の改善と、2024年第2四半期に過去最高となる698億円の純利益を計上し、その後減産を終了した好調な財務実績を反映したもの」と指摘しました。また、昨今のAIブームで半導体関連株式への関心が集まっていることも背景にあるとの見方もあります。



テクノロジー系メディアのTom's Hardwareは、「キオクシアはその強力な財務体質にもかかわらず、100億ドルという評価額はSamsungやウエスタンデジタルに比べて割安になると予想されている。キオクシアのIPOは、ウエスタンデジタルがNANDおよびSSDメーカーとハードドライブメーカーの2社に分割する中で行われるものであり、分割後はウエスタンデジタルのNAND会社は世界のNANDメモリ供給の約12%を支配し、キオクシアは残りの12%を支配することになる。両社はSamsungやSKハイニックスにかなり遅れをとることになり、仮に合併したとしてもNAND市場シェアではSKハイニックスに匹敵する程度にしかならない」と述べました。