電車でついウトウトしてしまう…どうして? そのまま寝てもOK? “疑問”を専門家に聞いてみた
電車の座席に座っているときに、なぜか眠くなってしまうことはありませんか。SNS上では、「電車に乗ると、どうしてもウトウトしてしまう」「電車でウトウトしていたら乗り過ごした」といった声が上がっています。
電車の座席に座っている際に眠くなるのは、なぜなのでしょうか。そのまま眠った場合、体にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。姿勢調整師の澤頭高司さんに聞きました。
座ったまま寝ると体に負担
Q.そもそも、電車の座席に座っているときにウトウトしてしまうのは、なぜなのでしょうか。考えられる原因について教えてください。
澤頭さん「主に『体の機能』『睡眠不足』『時間帯』という、3つの原因が考えられます。
人間の体は、電車の座席のような小さく揺れる場所にいると、感覚刺激により、ウトウトしてしまうようにできているといわれています。保護者が赤ちゃんを寝かせるときに、抱っこしながら揺らしたり、揺れるタイプのベッドを使ったりすることが多いのはそのためです。また、ハンモックを使ったときに気持ち良く感じると思います。
ただ、電車の揺れには、眠くなりやすい振動とそうではない振動があるという研究データもあるため、電車の座席に座ると確実に眠くなるとは言い切れません。
また、良質な睡眠を取っていない状態で電車の座席に座ると、眠くなりやすいです。特に昼食後は血糖値が高くなり、眠くなりやすいので、その時間帯に電車で座っていると、さらに眠くなる可能性があるでしょう。
このほか、人間の覚醒度は正午から午後3時の間が一番低くなるといわれており、その時間帯に電車で座ると眠くなる可能性があります」
Q.電車で座っているときに眠くなった場合、そのまま仮眠を取っても問題ないのでしょうか。
澤頭さん「姿勢科学の観点からお伝えすると、座った状態で仮眠を取るのは好ましくありません。正しい睡眠の姿勢は、布団やベッドにあおむけの状態で寝ることで、これにより、体をしっかりと休めることが可能です。横向きやうつぶせ、座った状態で寝ると、体に負担がかかります。
ここで、筋肉について解説します。人間が起きている間、筋肉は常に緊張していますが、寝ている間は筋肉が弛緩(しかん)し、脱力した状態となります。この状態であれば、体をしっかりと休ませることができます。
体を傾けた状態や座った状態で寝ると、睡眠中も筋肉が緊張してしまうため、体が痛くなったり、硬くなったりするなどの不具合が生じます。実は、これは寝違えの原因の一つでもあり、体の仕組みを知っていると予防することができます」
Q.電車で仮眠を取るのは好ましくないということですが、電車に乗ったときに眠くならない方法はありますか。
澤頭さん「一番有効な対策は、座らないことです。人間の場合、体に最も負担がかからないのは立っているときであり、その際につらく感じないのが、本来の姿です。
座っているときだけでなく、立っているときにも眠くなってしまう場合は、睡眠環境から変えていき、眠くならない体づくりをしていきましょう。日々の生活の中で、『疲れが取れない』『よく眠れない』『夜更かしをしてしまう』『夜中に何度も起きてしまう』といったことが起きる場合は、姿勢の悪さが原因である可能性があります。
姿勢が悪いと、神経の働きも血の巡りも悪くなるため、良質な睡眠を取ることができません。また柔らかいベッドや布団、枕などで寝ると姿勢が悪くなりやすく、神経の機能も低下し、睡眠の質も下がってしまうといわれています。
睡眠の質についてお悩みの場合、まずは生活環境の見直しをしていき、姿勢科学に詳しい専門家に相談してみましょう」