iPhone 14・15シリーズにて日本で衛星経由の「緊急SOS」と「探す」が利用可能に!iOS 17.6以降への更新が必要

既報通り、
Appleは29日(現地時間)、同社が販売するスマートフォン(スマホ)「iPhone」シリーズ向けプラットフォーム「iOS」とタブレット「iPad」シリーズ向けプラットフォーム「iPadOS」の最新バージョン「iOS 17.6(21G80)」および「iPadOS 17.6(21G80)」を提供開始しました。合わせて同社の日本法人であるApple Japanは30日、このiOS 17.6にソフトウェア更新したスマートフォン(スマホ)「iPhone 15」シリーズおよび「iPhone 14」シリーズにて画期的な安全サービスである衛星経由の「緊急SOS」を日本で提供開始したと発表しています。

これにより、iOS 17.6以降のiPhone 15シリーズおよびiPhone 14シリーズでは携帯電話ネットワークや無線LAN(Wi-Fi)の電波が届かないところに出かけている時でも緊急通報サービス(日本では「110」または「118」、「119」)に連絡ができるようになるほか、友人や家族に居場所を知らせたい場合は「探す」アプリを開いて衛星経由で位置情報を共有可能となったりします。

なお、このサービスは新しいiPhone 15シリーズまたはiPhone 14シリーズのアクティベーションを行った時から2年間無料で利用できるとのこと。また同社では衛星経由の緊急SOSが2022年の発表以来、当初はアメリカなどの一部の国・地域でのみ提供されていましたが、すでに16カ国・地域で提供されており、すでにこれらの国・地域において人命救助に役立ってきたとしています。


iPhone 14とiPhone 15のラインナップに含まれるすべてのモデル(「iPhone 14」および「iPhone 14 Plus」、「iPhone 14 Pro」、「iPhone 14 Pro Max」、「iPhone 15」および「iPhone 15 Plus」、「iPhone 15 Pro」、「iPhone 15 Pro Max」)が独自に設計されたハードウェア部品と緊密に連係するソフトウェアの組み合わせによって衛星に直接接続し、衛星経由の緊急SOSは緊急SOS・メディカルID・緊急連絡先、探すの位置情報の共有などのiPhoneを利用している人にとって不可欠な既存の機能を基盤としており、衛星に接続して重要な情報を緊急通報サービス、家族や友人と共有できるようにします。

この革新的なサービスによって例えば、緊急SOSならiPhone 15シリーズやiPhone 14シリーズの利用者はAppleによるトレーニングを受けた緊急対応専門スタッフがいる衛星中継センターとつながることができ、これらのスタッフが利用者の必要な助けを得られるように代わりに緊急通報サービスにただちに連絡してくれます。これは助けを必要としている時に110や118、119に発信できなくても緊急SOSスライダーが表示されるまでサイドボタンといずれかの音量調節ボタンを長押しすることで素早く簡単に緊急通報サービスに連絡できるようになります。

衛星経由の緊急SOSでは携帯電話ネットワークやWi-Fiの電波が届かないために緊急通報サービスに接続できない場合、iPhone 15シリーズやiPhone 14シリーズにおいて衛星接続を利用して助けを得られるように使いやすいユーザーインターフェイス(UI)が表示されるようになっており、まずは簡潔な質問が表示されるため、利用者は何回かタップするだけで重要な質問に回答でき、これらの回答によって利用者の状況と位置情報を迅速に把握できるように最初のやりとりで通信指令台に伝達されます。


そしてAppleは緊急通報サービスに連絡する最も一般的な理由を特定するために専門家と緊密に連携して標準の質問と手続きを検討し、質問の後に直感的なUIによって衛星に接続して最初のメッセージを送信するためにiPhoneを向けるべき空中の方向をユーザーにガイドしてくれ、このメッセージには質問への回答や位置情報(高度も含む)、iPhoneのバッテリー残量、メディカルID(有効になっている場合)が含まれ、緊急連絡先が情報を把握できるように衛星中継センターの専門スタッフとのやり取りの記録を緊急連絡先と共有することもできます。

また衛星の動きは高速で帯域幅は小さく、位置は地球から1000Km以上離れているため、短いメッセージでも届くまでに数分間かかることがあるものの、Appleが独自に設計および構築した部品とソフトウェアによってiPhone 15シリーズとiPhone 14シリーズでは大きなアンテナがなくても衛星固有の周波数に接続でき、メッセージの平均サイズを3分の1に縮小して可能な限り体験を高速化するテキスト圧縮アルゴリズムも開発することによって衛星経由の緊急SOSでは利用者の視界が開けた条件下ではわずか15秒でメッセージを送受信できるようになっています。


なお、内蔵されている衛星経由の緊急SOSのデモを使って緊急通報サービスへの連絡は行わずに範囲内の実際の衛星に接続し、iPhoneで衛星接続をテストできるようになっているため、万が一のときに備えて操作方法などのプロセスを体験してサービスに慣れておくことが可能です。また携帯電話ネットワークやWi-Fiが圏外の場合で緊急事態が発生していない場合でもこの先進的な技術ではAppleの探すを使って衛星経由で自分の位置情報を家族や友人などに共有できます。

探すアプリでは「自分」タブを開いて上にスワイプして「衛星経由の位置情報」を表示してから「自分の現在地を送信」をタップします。その他、iPhone 15シリーズとiPhone 14シリーズの衛星接続は「衝突事故検出」や「転倒検出」などのiPhoneやスマートウォッチ「Apple Watch」で利用可能な他の安全機能とも連係します。また衛星経由の緊急SOSと探すは日本以外ではオーストラリアやオーストリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ポルトガル、スペイン、スイス、イギリス、アメリカで現在利用可能です。


衛星経由の緊急SOSや探すは前述通りに当初は2022年にアメリカなどの一部の国・地域で提供が開始され、日本ではこの衛星経由のサービスを提供するための環境が整っていなかったこともあってこれまで提供できませんでしたが、日本で通信システムの基準認証制度を管轄する総務省では昨年制度改正が行われ、その後、対象のiPhoneについて2023年11月30日付けで新たに電波法に基づく工事設計認証において衛星経由の通信に対応するための証明規則第2条第28号の2の3に規定する特定無線設備「1.6GHz帯/2.4GHz帯移動衛星通信システム用携帯移動地球局」が追加されていました。

対象の型番は「A2881」および「A2885」、「A2889」、「A2893」、「A3089」、「A3093」、「A3101」、「A3105」となっているため、日本で販売されているiPhone 15シリーズおよびiPhone 14シリーズで利用可能となり、日本以外で販売されている製品についてはこれらの型番以外では利用できないと思われます。なお、iPhoneの衛星経由による通信はGlobalstarと協力して提供しており、上りは1.6GHz帯のLバンド、下りは2.4GHz帯のSバンドを利用します。


アプリ名:探す
価格:無料
カテゴリー:ユーティリティ
開発者:Apple
バージョン:1.4
互換性:iOS 14.0以降またはiPadOS 14.0以降、watchOS 7.0以降が必要です。
App Store:https://itunes.apple.com/jp/app/id1514844621?mt=8





記事執筆:memn0ck


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・衛星経由の緊急SOS、本日提供開始 - Apple (日本)
・iPhone で衛星経由の緊急 SOS を使う - Apple サポート (日本)
・iPhoneで衛星経由の緊急SOSを使用する - Apple サポート (日本)