散らかったおうちを訪問している、ライフオーガナイザーの下村志保美さん。お仕事をするうちに「片づけられない人」の共通点を見つけたそうです。今回はリビング、洗面台、クローゼットなどの部屋別に分類して、「すっきり片づく捨て方」を教えてもらいました。

片づかないリビングにある「先延ばし」ボックス

片づけの仕事で気がついた「散らかったリビングにありがちなもの」。そのひとつとして下村さんが挙げるのは「書類ボックス」です。

【写真】クリーム・スティックタイプの日やけ止めを処分

あとで確認したい書類、学校からのお手紙などをとりあえず入れておくカゴやボックスはありませんか? 入れたことで一瞬片づいた気持ちになりますが、気がつくとそこが書類の山になってしまう。じつは、書類をためてしまう仕組みになっています。

「あとでシュレッダーしよう」ボックスも、「シュレッダーしなくてはいけない書類をためるだけの箱」になります。とくに家庭用のシュレッダーは一気に大量に処理できませんから、こまめにやると決めておきましょう。

「とりあえず」は、厳しくいうと「先延ばしをしているだけ」であることをお忘れなく。

大量の「処方薬」も山積みに

片づかないお家にありがちなのが大量の薬。飲みきれなかった薬がどんどんたまってきて、キッチンカウンターの上やダイニングテーブル周辺に山積みになっているお家を何軒も見てきました。

この使い残したお薬のことを「残薬」といい、日本全体では1000億円以上の残薬が生じていると言われています。「医療費がタダだし」だとしても、それは税金や健康保険料に影響しますよね。

多くの薬剤と医療費が無駄になっていることを考えると、家にある処方薬の総量を確認してから受診し、過剰な薬をもらわないという選択が必要です。そうするとダイニングテーブル周りもすっきりします。

問題は「量」だった

じつは片づいている家もそうでない家も、家にあるアイテムは似たようなもの。キッチンには鍋、フライパン、お玉、食器、カトラリー、調味料、食品。クローゼットの中も服、下着、バッグ…。

ただしそれぞれの「量」が違うことが片づいている、片づいていないのか分かれ道になっているだけ。

「いくつあればたりるのか」「どれくらいの量なら、自分がきれいを維持できるのか」を考えて定量を保つこと、そして先延ばしをやめてその場で処理していくこと。

最初は簡単ではありませんが、一度仕組みができれば後は簡単に片づいた家を維持できます。

片づかない洗面所に必ずあるもの

洗面所は家の中で比較的コンパクトな空間です。しかし、身支度をするためのグッズや洗濯アイテム、お風呂グッズなどが並んだり、家族の使うものが出しっぱなしになったりして、ゴチャつきがち。

たくさんの片づかない洗面所を見てきたプロとして、まずは見直すべきのものをお伝えします。

使いきれなかった整髪料、コスメ

ドラッグストアやSNSで見かけて「これよさそう」と購入したものの、いまいち自分には使いづらかった整髪料やコスメはありませんか?

まだまだ中身が残っているから「いつか使うかも」と思ってそのまま洗面台の棚に残しがちなのですが、それらがあることで本当によく使うものが洗面台の上に出しっぱなしになっているおうちを、たくさん見てきました。洗面台の掃除もしにくいし見た目もイマイチ、なにより洗面台の上にあれこれ乗っていると使いにくいですよね。

「まだ使える」と思っても、「今使っていない」なら、処分を考えてもいいかもしれません。

去年の日やけ止め、虫よけグッズ

日やけ止めは年中使うものかもしれませんが、秋冬はあまり使うことなく、気がつくと昨年、いいえそれよりもっと前のものがまだまだ残っていることも。私自身、毎年あります。

液体とクリーム部分が分離している、いやなにおいがしているなどであれば即捨てられるけど、今どきの日やけ止めはそういうこともなく「まだ使えるかも」って思ってしまいます。そしてやっかいなことに、いきなり肌荒れするなどの症状も出にくいものです。

ですが、コスメ類は確実に酸化し劣化していくそうで、開封後はワンシーズンで使いきることをメーカーはおすすめしています。

なにより数年経って日やけ止めの効果はちゃんとあるのか疑問ですし、お肌のためを思っての日やけ止めがかえって悪い影響を与えたのでは本末転倒。日やけ止めや虫よけなど、劣化するものが余ったら潔く処分し、今年の夏残ったものは早めに使いきりましょう。

「使えるけど使わないもの」を持つメリット・デメリット

先ほどご紹介したものをもち続けるメリットは、
・「いつか使うかも」の「いつか」がやってきたときにうれしい
・買い直しをしなくていい
ということ。

一方デメリットは
・ものによっては肌荒れのリスク
・洗面所がものであふれる
・「今」使いたいものが使いにくい
・掃除がやりにくい
・ものが多いと湿気がたまりカビや虫の原因に
・なにがどれくらいあるのかわからずダブり買いをしてしまう
と、どう考えてもデメリットの方が大きいですね。

使えるけど使わないものはさっさと手放して、入浴・洗面・洗濯など自分や家族を清潔に保つ場所である洗面所を、気持ちのいい場所にしていきましょう。

片づかないクローゼットに必ずある服

あなたのクローゼットに「まだ着られるけれど結局着ない服」はありませんか? もしかしたら“賞味期限がきれている服”かもしれません。

「まだ着られるから」と賞味期限ぎれの洋服を着ても太って見えたり老けて見えたりします。期限ぎれの洋服ばかりのクローゼットは「服はいっぱいあるのに着たい服がない」とストレスのもとでもあります。

機能的な賞味期限ぎれの服

さほど目立つわけではないけれど、気になってしまう色あせや小さな汚れ、目立たないほつれ、取っても取ってもすぐに出てくる毛玉。部屋着としてなら着られそうだから消費期限は来ていないけれど、洋服の賞味期限は過ぎています。

片づいていない家には、これらの賞味期限ぎれの服が部屋着としてたくさんあります。

部屋着は賞味期限ぎれの2軍服ではなく、部屋着としてリラックスできて洗濯もしやすい服のみに絞りましょう。

ライフスタイルの変化による賞味期限ぎれの服

女性は妊娠出産子育て、その時々によって必要な服が大きく変わってきます。

マタニティ服は代表的ですがそれ以外にも、子どもと公園をかけ回るときは必要だったジーンズも子どもが成長した今はもうほとんど履かないとか、子どもの学校に行くときに必要だった紺のワンピースもクリーニングの袋がかかったまま。

近年では毎日通勤していたときはたくさん必要だったスーツも、コロナ禍を経てテレワークが多くなると不要になり、この1年で1度も着ていない…とか。

これらはライフスタイルの変化による賞味期限ぎれの服です。次にその服の登板が来るのはいつなのか、この機会に考えてみてください。

賞味期限を守ることは、自分の「すてき」を守ること

賞味期限内の服だけになった「1軍だけのクローゼット」は、自分に似合う服だけのクローゼット。すっきりとしていて洋服を取り出しやすく戻しやすい、機能的なクローゼットになります。

ですが、着なくなった服をただ捨ててしまうのはもったいないですよね。

「機能的な期限ぎれの服」は処分を検討するにしても、服はあなたにとっては期限ぎれであっても、もしかしたらほかのだれかにとっては期限内であり、必要な服かもしれません。

クローゼットを片づけるお客様には、思い当たる人に譲ったり、「古着deワクチン」など、古着を活用してくれる団体への寄付をおすすめしています。