記者会見する全日空(ANA)の井上慎一社長。インバウンド需要はまだ伸びるとみている

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コロナ禍の影響で減少していたインバウンド(訪日客)の回復が続き、2024年は上半期、6月単月の両方で過去最高を記録した。

全日空(ANA)の井上慎一社長は24年7月19日に開いた記者会見で、「インバウンドはまだ伸びるだろうと思っている」との見方を披露した。

井上氏によると、19年に日本で開かれたラグビーのワールドカップを機に日本の魅力が国外に伝わったが、そこで生まれたはずの需要がコロナ禍で途絶えていた。

往来が再開したことで、観光地としての日本に対する認識が「ぐぐっと広がってきている」とみている。

上半期、6月単月の両方で過去最高を記録

日本政府観光局(JNTO)は7月19日、24年1〜6月の訪日外国人客数(推計値)が前年同期比65.9%増の1777万7200人だったと発表した。過去最高だった「コロナ前」の19年同期を100万人以上上回る水準だ。

そのうち6月は前年同月比51.2%増の313万5600人で、単月としては過去最高を記録した。「300万人超え」は4か月連続だ。

 

井上氏によると、最近の円安は「成長のチャンス」で、インバウンド需要は「まだ伸びるだろうというふうに思っている」。その理由を、独自調査の結果として

「日本の魅力が、特にラグビーのワールドカップ以来、一気に広がった感がある。つまり、非常に人がいい、環境がいい、グルメが非常にバラエティーに富んでいておいしい、健康である、何よりも安全だ......こういった認識が一気に広がってきた感がある」

などと説明した。ここで生まれた需要は、直後に始まったコロナ禍で途絶えたが、

「それがパンデミックが明けて(日本に)やってきて、『やっぱりよかったね』ということで、ぐぐっと広がってきている」

という見立てだ。こういった認識が「いろいろな方に共有されつつある途上」とも話した。

ミラノ・ストックホルム・イスタンブール線の就航日も発表

オーバーツーリズム(観光公害)をめぐる問題については、メジャーではない観光地への誘客が必要だとの見方を示した。

「来ていただくことは大変ありがたいことだと思うので、私達の責務として、その外国の方に、『地方にも、もっとこんな魅力があるぞ』ということをお教えして、そちらにお連れするということは、新たに我々に課されたミッションだと認識している」

この日の会見では、すでに開設が発表されていた羽田〜ミラノ・ストックホルム・イスタンブール線の3路線の運航開始日が発表された。それぞれの運航開始日は12月3日、2025年1月31日、同2月12日で、いずれも週3往復を予定している。これにともなって、ANAが運航する日欧間の便は週49便、就航地点は9地点に広がる。

(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)