貴重な漫才SP盤の音源からひも解く、ある漫才コンビがプロパガンダの中で貫いた芸人魂『戦後79年スペシャル 反骨の、漫才ユモレスク』8月9日(金)午後8時~放送
文化放送は、戦後79年となるこの夏、特別番組『戦後79年スペシャル 反骨の、漫才ユモレスク』を8月9日(金)午後8時00分より放送する。
文化放送では、これまで戦後誰も語り継がない「封印された真実」を発掘していくシリーズ企画を放送。
2015年に放送した戦後70年企画特番『アーサー・ビナード 探しています』(2016年日本民間放送連盟賞ラジオ報道部門最優秀賞)、2020年の『文化放送戦後75年スペシャル 封印された真実~軍属ラジオ』(2021年日本民間放送連盟賞ラジオ部門グランプリ/第58回ギャラクシー賞ラジオ部門大賞)、2023年の『民放ラジオの黎明~Count Basie(カウント・ベイシー)が聞こえる』など、大きな反響を呼んできた。
今年、文化放送が送るのは『戦後79年スペシャル 反骨の、漫才ユモレスク』。
昭和に入り軍部の発言力が強くなり、国家として大陸侵攻に舵を切った1930年代から、徐々にあらゆる分野に対して規制がかかり始めた。新聞やラジオといったメディア、映画や小説、雑誌はもちろん、紙芝居や流行歌までが「国家総動員」「臣道実践」のプロパガンダとして利用され、さらにその潮流は演芸の領域まで及んだ。
落語、浪曲、講談など人気の高かった大衆娯楽の世界にも「国策推進」「愛国実践」といった大日本帝国の思想が色濃く反映されるようになり、日に日に息苦しくなっていく時世、時節の中、2人の落語家による漫才コンビ「リーガル千太・万吉」がデビューした。
漫才についても当然、国家当局が目を光らせた厳しい環境の中、千太万吉は、世相や戦争に対するシニカルな批判を取り入れたギリギリのネタ、スレスレの台本による軽妙な掛け合いで「笑い」を提供していった。
当番組では当時のSP盤から「国策歌謡」とも言うべき流行歌、忠心報国を喚起させるための「愛国浪曲」、そして千太・万吉の師匠にあたる柳家金語楼が演じた「国策落語」など、各ジャンルのプロパガンダ音源をオンエア。そしてリーガル千太・万吉が残した漫才“朗らかな兵隊”シリーズも放送する。“朗らかな兵隊”には、「笑い」の本分や「漫才」の存在価値を土台にした、千太万吉の時代に対する反骨心と芸人魂を感じずにはいられない。
出演は、アーサー・ビナード、鈴木純子(文化放送アナウンサー)、柏木新(話芸史研究家)。