2020年11月27日に東京地裁から破産開始決定を受けた(株)レナウン(TSR企業コード:295833440、江東区)が消滅する。今年8月に最後配当を実施し、年内に破産手続きが終結するため。7月10日には第5回債権者集会を開催していた。法人としての名門レナウンが名実ともに消滅する。



 レナウンは、有力ブランドを育てた老舗アパレルで、CMソングなど広告戦略が奏功して業界大手に成長した。しかし、競合から業績が悪化し、2010年に中国の繊維大手・山東如意科技集団有限公司の傘下に入った。
 しかし、業績回復の遅れや山東如意グループへの売掛金の回収難に加え、コロナ禍の影響を受け2020年5月、子会社から民事再生法の適用を申し立てられた。負債は138億7,900万円だった。
 民事再生による再建を目指し、主力ブランド「ダーバン」「アクアスキュータム」の譲渡などを進めたが、再生計画を作成できず破産手続きに移行していた。

配当原資は累計46億円強

 破産管財人の永沢徹弁護士(永沢総合法律事務所)の手で資産換価が進められた。7月10日までの破産債権の配当は第1回が35億9,801万円、第2回が10億3,327万円、今年8月中旬に予定される第3回が3,773万円で、配当は累計46億6,902万円。一方、確定普通破産債権(別除権付債権を除く)は73億6,564万円となっている。
 最後配当を含めた破産債権の配当率は63.3%にのぼる。

年内に破産終結へ

 第5回債権者集会の破産管財人報告要旨によると、山東如意科技集団有限公司に対する約53億2,400万円の連帯債務履行請求権等の回収は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業に委任し、中国現地代理人を通じて2023年12月11日、現地の裁判所へ山東如意の破産手続開始を申請した。だが、申請は受理されておらず、破産手続きが開始されるか不透明という。
 レナウンは、8月中旬に最後配当を実施する。その後、遅くとも年内には破産手続きが終結する予定だ。
 終結後、債権回収が実現し、配当できる破産財団が形成された場合は裁判所の許可を得て、追加配当を行う。



 1902年に創業され、アパレル業界を席巻したレナウンの消滅は、ひとつの時代の終わりを象徴する。だが、残した足跡は今後も語り継がれていくだろう。



数々の足跡を残した「レナウン


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2024年7月12日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)