「若年性大腸がん」のリスク症状3選! 50歳未満が注意すべき“危険信号”とは
アメリカのカリフォルニア大学らの研究グループは、「50歳未満で診断される若年性大腸がんのリスクについての解析をおこない、血便と腹痛、貧血の症状がある場合は発症リスクが高くなる」と発表しました。この内容について上医師に伺いました。
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上 昌広(医師)
東京大学医学部卒業。東京大学大学院修了。その後、虎の門病院や国立がん研究センターにて臨床・研究に従事。2010年より東京大学医科学研究所特任教授、2016年より特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所理事長を務める。著書は「復興は現場から動き出す(東洋経済新報社)」「日本の医療格差は9倍医療不足の真実(光文社新書)」「病院は東京から破綻する(朝日新聞出版)」「ヤバい医学部(日本評論社)」「日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか(毎日新聞出版)」。
研究グループが発表した内容とは?
アメリカのカリフォルニア大学らの研究グループが発表した内容について教えてください。
上先生
今回紹介する研究は、アメリカのカリフォルニア大学らの研究グループが実施したもので、研究結果は学術誌「JAMA Network Open」に掲載されています。
若年性大腸がんは罹患率が世界的に上昇しており、アメリカでは診断するまでの時間が高齢発症の大腸がんと比べて最大で40%長いことが指摘されています。この診断までに時間がかかることが、死亡率上昇の一因になっている可能性があります。
研究グループは、若年性大腸がんのリスクがある症状や、診断までの期間を明らかにするための研究を実施しました。解析対象となったデータは、若年性大腸がん患者2490万8126人の症例を含む81件の研究です。対象データのうち、若年性大腸がん患者の一般的な症状は、血便、腹痛、便通の変化、体重減少や食欲減退などがみられました。このうち、若年性大腸がんのリスクが高くなったものは、血便、腹痛、貧血であることがわかりました。こうした症状が表れてから若年性大腸がんと診断されるまでの期間については、平均で6.4カ月、中央値4カ月でした。
研究グループは、今回実施した研究について「一貫した比較対照群がなく、若年性大腸がんと症状との関連性の推定は不十分だった」と指摘しています。こうした状況を踏まえた上で、今回得られた結果については「血便や腹痛などの症状がある場合は、若年性大腸がんを初期鑑別診断に含めて、ほかの診断が確定しない場合や症状が続く場合には、大腸内視鏡検査を含むフォローアップをおこなう必要がある」と結論付けています。
若年性大腸がんとは?
今回の研究対象になった若年性大腸がんについて教えてください。
上先生
若年性大腸がんは、英語でEOCRC(Early-onset colorectal cancer)と呼ばれ、50歳未満で発症する大腸がんです。若年性大腸がんは、新たに発見される大腸がんの10~15%を占めており、「2030年までに現在の2倍になる」という予想もあります。若年性大腸がんが増加している原因は、現時点では不明です。
若年性大腸がんは初診の時点で、すでに進行期だったり、転移していたりするケースも少なくないことが知られているなど、通常とは違う挙動があります。通常の大腸がんよりも活動性が高いため、診断に時間がかかってしまうと死亡につながり得る病気です。今回の研究はこうした若年性大腸がんの特徴に対してアプローチしたものになります。
研究グループが発表した内容への受け止めは?
カリフォルニア大学らの研究グループによる発表への受け止めを教えてください。
上先生
アメリカでは若年がんの増加が報告されており、病態が高齢者のがんとは異なる可能性があります。まだ実態は十分に解明されていないため、今回の研究結果は貴重であると考えます。
まとめ
アメリカのカリフォルニア大学らの研究グループは、「若年性大腸がんのリスクについての解析をおこなった結果、血便と腹痛、貧血を呈する場合にリスクが高くなった」と発表しました。大腸がんは日本人のがんによる死因の上位を占める病気なだけに、今回の研究内容は注目を集めそうです。
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