OpenAIが理事会によって管理されない営利企業になる可能性があるとサム・アルトマンCEOがコメント
OpenAIは理事会を据える非営利法人の傘下に営利法人を置くという組織構造をしていますが、サム・アルトマンCEOが「今後は非営利法人を営利法人に移行する可能性がある」と語ったことが、海外メディアのThe Informationにより伝えられました。
OpenAI CEO Says Company Could Become Benefit Corporation Akin to Rivals Anthropic, xAI - The Information
Sam Altman May Transition OpenAI to A For Profit Firm
https://www.cryptotimes.io/2024/06/15/openai-may-transition-to-unrestricted-for-profit-says-ceo-sam-altman/
Sam Altman says OpenAI could become a for-profit meaning it could eventually IPO - Neowin
https://www.neowin.net/news/sam-altman-says-openai-could-become-a-for-profit-meaning-it-could-eventually-ipo/
OpenAI CEO says company could become for-profit corporation, report says - BusinessToday
https://www.businesstoday.in/technology/news/story/openai-ceo-says-company-could-become-for-profit-corporation-report-says-433446-2024-06-15
OpenAIは主に以下の3つの組織から成り立っています。
◆非営利法人OpenAI, Inc.
OpenAI, Inc.は非営利法人(501-c-3)として設立された法人で、汎用(はんよう)人工知能(AGI)の普及・発展を目指しています。この法人はサム・アルトマンCEOらが籍を置く「理事会」が支配しており、寄付を受け付けることでその運営資金を確保しています。
◆OpenAI GP LLC
OpenAI GP LLCはOpenAIの営利子会社を管理および統治する権限を持つ管理会社であり、OpenAI, Inc.により「完全にコントロール」されています。この法人を置くことにより、非営利法人であるOpenAI, Inc.は営利法人を間接的に支配できます。
◆営利法人OpenAI Global, LLC
OpenAI Global, LLCは、AIの商業化と開発を行うOpenAI GP LLC傘下の営利法人です。Microsoftがこの法人の49%を保有していますが、Microsoftやその他投資家への利益配分には上限が設けられています。上限を超えて得られた利益は非営利法人OpenAI, Inc.に返還され、OpenAI, Inc.が目指すところの「人類全体の利益」のために使われます。
このほか、OpenAI OpCo, LLCやOpenAI, LLCなど複数の営利法人があります。
非営利法人が受け付ける寄付だけでは高額な研究費用や開発費用を賄いきれませんが、営利法人があることでより多くの資金を獲得することができます。ところが、利益の追求を優先しかねない営利法人の存在が「AIの民主化」を目指す非営利法人の主張と矛盾する可能性があることが一部で問題視されています。OpenAIの立ち上げに協力したイーロン・マスク氏も同様の観点から訴えに出ましたが、後に取り下げています。
イーロン・マスクがOpenAIに対する訴訟を取り下げ - GIGAZINE
The Informationの報道によると、サム・アルトマンCEOは上記の非営利法人をトップに据えた構造を大幅に変更したいと考えているとのこと。
何がどのように変更されるのかは不明ですが、「理事会」の管理下にない、ライバル企業のAnthropicやxAIが採用している「B Corp」と呼ばれる形態を目指していると伝えられています。これが実現すれば、社会的利益に貢献するという当初の目的を果たしつつ、利益を追求することが可能になります。また、営利法人に移行することで新規公開株式への道が開かれる可能性があるとの指摘もあります。一方でOpenAIの理事会は会社の支配権を失うことになるそうです。