by dilettantiquity

1977年に打ち上げられたNASAの無人宇宙探査機のボイジャー1号は、2023年11月に突如解読不能なデータを地球に向けて送信し始めました。その後、不具合の原因が判明し、調整を行うことで科学データの送信という本来のミッションを再開することに成功しています。再開当初は4つの科学機器のうち2つからしかデータを得ることができていませんでしたが、2024年6月に、残りの2つの機器が再び稼働し、地球上のコントロールセンターとの通信を再開したことが報告されています。

Voyager 1 Returning Science Data From All Four Instruments - NASA Science

https://science.nasa.gov/missions/voyager-program/voyager-1/voyager-1-returning-science-data-from-all-four-instruments/



Voyager 1 is back online! NASA's most distant spacecraft returns data from all 4 instruments | Space

https://www.space.com/voyager-1-fully-operational

1977年に打ち上げられた無人宇宙探査機のボイジャー1号は、記事作成時点で地球から約240億km離れた地点に到達しています。約46年前のミッション開始以来、NASAは常にボイジャー1号を追跡していますが、2023年11月頃からボイジャー1号が解読不能なデータを地球に向けて送信していることが確認されていました。

この「解読不能なデータ」とは、主に測定値や探査機の動作状況を報告するデータで、この結果ボイジャー1号が現在どのような状況にあるのかがわからなくなっていました。原因究明に努めたNASAは2024年4月に「ボイジャー1号の観測データや動作状況をパッケージングする『フライトデータサブシステム(FDS)』の1つに不具合がある」ことを突き止めることに成功。

5カ月にわたって解読不能なデータを送り続けたボイジャー1号の不具合の原因が判明 - GIGAZINE



その後NASAは、不具合のあったFDSで使用されるコードをセクションごとに分割し、別のFDSに保存するという信号をボイジャー1号に送信し、解読可能な信号の受信に成功していました。

解読不能なデータを送り続けていたボイジャー1号が5カ月ぶりに解読可能な信号を地球へ送信、現在の動作状況の確認が可能に - GIGAZINE



さらにNASAは2024年5月22日に、ボイジャー1号に搭載されている4台の信号送信装置のうち2台から正常に科学データを送信できるようになったことを発表。NASAによると、正常な科学データの送信を再開したのはプラズマ波サブシステムと磁力計機器で、宇宙船サブシステムと低エネルギー荷電粒子機器は正しい信号を送信できていないとのことで、「残り2台の機器からも正常に科学データを送信できるように復旧作業を進めています」と説明していました。

宇宙から解読不能なデータを送信し続けていたボイジャー1号がついに科学データの送信を再開 - GIGAZINE



そしてNASAは2024年6月14日に、宇宙船サブシステムと低エネルギー荷電粒子機器を含む全ての科学機器が正常に科学データを地球に向けて送信していることを確認しました。これによってボイジャー1号のメインミッションである「星間空間に関する情報収集」が再度実行可能になっています。

一方でNASAは「今回の一連の問題を浄化するために、追加の小さな作業が必要です。具体的には、ボイジャー1号に搭載された3台のコンピューターで計時ソフトウェアを再同期し、適切なタイミングでコマンドを実行できるようにします。また、年に2回地球に送られるプラズマ波サブシステムのデータを記録するデジタルテープレコーダーのメンテナンスも行います」と報告しています。