世界で最も飲まれている飲料であるコーヒーは、2型糖尿病のリスクやがんの発生を抑えるなどの健康的なメリットを持っていますが、白い歯の天敵でもあります。おいしいコーヒーを楽しみつつ、できるだけ歯の黄ばみを回避するのに最適な飲み方を、専門家が解説しました。

This Type of Coffee Is the Least Likely to Stain Your Teeth, According to Science

https://www.inverse.com/health/dark-roast-coffee-teeth-staining-science-dentist

コーヒーによる歯の着色を左右する要素は、大きく分けて「コーヒーの酸性度」「色素成分」「ミルクをいれるかどうか」「飲むのにかける時間」の4つです。

ニューヨーク大学歯学部の歯科医であるモニカ・ビバウウィ氏によると、pHが5.5以下の食べ物や飲み物を口に入れると、歯のエナメル質が分解され始めて表面に色素がつきやすくなるとのこと。コーヒーのpHは4.9〜6.2なので、できるだけpHが高く酸性度の低いコーヒーを作るのが白い歯の近道です。



また、コーヒーに含まれるポリフェノールであるタンニンとクロロゲン酸も、歯の着色の原因です。これらの成分は健康上の効果が指摘されることがあるほか、タンニンは苦味、クロロゲン酸は酸味としてコーヒーの風味に大きな影響を与えていますが、どちらも歯に付着すると色が付いてしまいます。

そして、コーヒーのpHや含まれる天然色素の量を左右するのがコーヒー豆のロースト具合です。コーヒーを長くローストすると、コーヒー豆のタンニンやクロロゲン酸が分解され、pHが増加します。

つまり、浅煎(い)りのコーヒーの方が酸性度が高く色素成分も多いので、歯の着色に関して言えば、コーヒー豆が真っ黒になるまでダークローストにした深煎りのコーヒーの方がいいということになります。



しかし、コーヒーの酸性度を左右するのはローストだけではありません。牛乳のpHは6.7〜6.9なので、コーヒーにミルクを入れると味がまろやかになるだけでなく、pHも上昇して酸性度が下がります。また、ミルクはタンニンやクロロゲン酸を破壊しませんが、着色の影響は緩和します。医歯学を専門とする査読済みの医学雑誌のJournal of Research in Medical and Dental Scienceに掲載された2022年の研究でも、コーヒーに砂糖を加えると着色が悪化する一方で、ミルクや水を入れると軽減されることが確かめられました。

抜歯された歯をコーヒーに浸す実験を行ったこの研究では、飲むコーヒーの温度が高いほど色が付きやすいこともわかりました。さらに、2018年に発表された別の論文では、高温でいれたコーヒーの方が、低温で数時間かけて抽出した水出しコーヒーより酸の濃度が高いことも突き止められました。

また、コーヒーを飲むのにかける時間も重要です。唾液の平均pHは6.7で、コーヒーを30分かけて飲んだとしてもそれほど口の中のpHは変化しません。しかし、飲む時間が長くなるとその分だけ影響が強くなります。



ビバウウィ氏は「例えば2時間もかけてコーヒーを飲むと、唾液が緩衝剤としてpHを回復する暇がないので、歯が常に酸の攻撃を受けていることになります。ですから、歯を守るには短時間でコーヒーを飲む方がいいと言えます」と話しました。

こうした点から、科学的には「深煎りのコーヒー豆で作った水出しコーヒーに氷とミルクをたっぷり入れてさっと飲む」という飲み方が、歯の着色を抑えるのにベストということになります。なお、ビバウウィ氏は浅煎りコーヒーの方が好きだとのことです。

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