ペットボトル&缶飲料の「よく振ってからお飲みください」 正しい“振り方”はあるの? 疑問をサントリーに聞いてみた
お茶のペットボトル飲料や缶コーヒーなどの中には、「よく振ってからお飲みください」などと記載された商品があります。こうした商品を飲む際にどのように振ったらよいのか、分からないと思ったことはありませんか。ペットボトル飲料や缶飲料の正しい振り方はあるのでしょうか。
緑茶飲料「伊右衛門」やコーヒー飲料「BOSS(ボス)」シリーズなどを販売する、サントリー食品インターナショナル(東京都港区)の担当者に聞きました。
上下に振ると成分がうまく混ざらない
Q.そもそも、ペットボトル飲料や缶飲料の中で、開封前によく振った方がよい飲み物の種類について、教えてください。
担当者「当社の場合、主にコーヒーや茶成分、果汁、ミルク成分などが沈殿する可能性がある飲料に対しては、『飲む前によく振ってください』という内容の注意書きを記載しています。
当社の伊右衛門には、豊かなコクと甘みを楽しんでいただけるよう、石臼で丁寧にひいた抹茶をたっぷり使用しております。時間の経過や温度の変化とともに抹茶が凝集し、沈殿していくため、振らないまま飲むと、伊右衛門の特長である抹茶の深いコクと甘みを楽しむことができません。伊右衛門を飲む前は、よく振っていただくことをお勧めします」
Q.では、「よく振ってからお飲みください」と記載されたペットボトル飲料や缶飲料の正しい振り方はあるのでしょうか。
担当者「多くのお客さまがやりがちですが、容器を上下に振った場合、中身の比重の関係で、一部の成分が下の方に沈殿してしまい、成分に偏りが出てしまいます。
その状態で飲料を開封した場合、飲み始めのときは成分が沈殿しているため、味が薄いと感じる一方、飲み終わりの頃に沈殿していた成分が一度に出てくるため、濃い味わいになるなど、味にばらつきが出る傾向にあります。そこで、当社は次のような方法で飲料を振るよう、お願いしております」
■小容量のペットボトル飲料の場合
(1)容器の真ん中を持つ。
(2)ボトルを横に傾け、キャップ部分を左右に倒すように数回振る。
■大容量のペットボトル飲料の場合
(1)容器の真ん中を持つ。
(2)ボトルを横に傾け、キャップ部分が半円を描くように左右に数回振る。
■缶飲料の場合
「上下を逆さにして戻す」という形で何回か振り、中の液体が容器全体に混ざるようにする。
Q.ちなみに、缶飲料の場合、「よく振ってからお飲みください」などと書かれた商品もあれば、「振らずにお飲みください」と書かれた商品もあります。両者は何が違うのでしょうか。
担当者「缶飲料には、充填(じゅうてん)方法により、缶内圧が大気圧より高い『陽圧』の商品と、缶内圧が大気圧より低い『陰圧』の商品があります。陽圧の商品を開栓前に振った場合、開けたときに中身が噴き出す恐れがあります。
飲み物の種類でいうと、炭酸飲料は陽圧に該当するほか、お茶飲料や果汁飲料でも充填方法によっては陽圧となります。また、茶葉や果汁が沈殿せず、混ざり合った状態でおいしく飲んでほしいという商品については、『軽く振ってください』と記載されていることがあります。
缶の種類でいうと、ボトル缶は陽圧の商品に該当します。なぜなら、内容液の劣化を防ぐために、先端のヘッドスペースと呼ばれる部分を通じて液体窒素が封入されており、容器内の圧力が、大気圧よりも高くなるからです。また、アルミ缶は内圧によって強度を保つことができるため、陽圧の商品で使われています。スチール缶はコーヒーなどの陰圧の商品で一部使用されています」