電動自転車のバッテリーを安価な自作品に交換する業者がインドネシアで増加しています。バッテリーに関する規制がないインドネシアで広がる自作バッテリーに、専門家は安全性への懸念を示しています。

Indonesia’s e-bike shops are building their own batteries

https://restofworld.org/2024/homemade-ebike-battery-indonesia/



インドネシアでは、2023年以降、一定量の国産部品を使用して製造された新しい電動自転車に最大700万ルピア(約7万円)の補助金を出すことが定められました。これにより電動自転車の登録数は激増し、2023年9月時点で前年のほぼ3倍になる6万2000台が登録されているとのこと。

一方でインドネシアはバッテリーに関する規制を一切実施していないため、純正品よりも安価で大容量なバッテリーを取り付けようとするユーザーが多く、こうしたユーザーに対応するように自作バッテリーの製造・取付を行う業者も増えてきているそうです。



海外メディア・Rest of Worldの取材に応えた地元民によると、自作バッテリーの方が安くて航続距離も長いため、知り合いのほとんどは自作バッテリーを使用しているとのこと。純正品の方が価格が高いため、純正品を売って自作品を買うことで400万ルピア(約4万円)ほどの利益を出した経験があると語った人もいたそうです。

実際に自作バッテリーを製造しているという人は、乾電池ほどの大きさをした18650リチウムイオン電池を100個ほどつなげてパックに包み、バッテリー管理システムを通じて車両に接続するというやり方で交換を行っていると話しました。

セベラス・マレ大学の化学講師であるアグス・プルワント氏は「通常、オンライン業者はバッテリーの電圧とアンペア数しか記載しませんが、すべてのバッテリーにはバッテリーの放電率を示す定格があるので、基礎となるバッテリーの放電速度が異なればバッテリーの損傷につながる可能性があります」と指摘し、仮に自作バッテリーを購入するのであれば細かい下調べをして安全性を確認することが重要だと提言しました。



Rest of Worldによると、メーカーごとにバッテリーサイズや設計思想が異なることから、インドネシアの電気自転車業界は混迷を極めており、メーカーが正式に認証したバッテリーを見つけるのは難しいとのこと。こうした状況も、市販のバッテリーがはびこる一因になっているのではないかとの見方もあります。

また、貴重な資源を含むバッテリーのやりとりが盛んになったことで、バッテリーを処理するリサイクル業の需要が高まりつつあるそうです。