延長措置が終了、ANAとJALマイルの決定的な違い
ANAのマイルを「コスパよく」消化していく方法を紹介する(筆者撮影)
コロナ禍でとられていた延長措置が終わり、ANAマイルが3月末に有効期限を迎える。大手航空会社のANA(全日本空輸)やJAL(日本航空)の飛行機に搭乗したり、対象サービスなどを利用すると貯まるポイント「マイル」。通常、これらのマイルの有効期限は利用月から36カ月間だが、ANAマイルの場合は、コロナ禍で2024年3月末まで有効期限が延長されていた。
一方、JALは2023年3月末までの延長で、その後の自動延長はない。2023年2月末までに有効期限を迎えたマイルは、JALの航空券や旅行商品の支払いに使える電子マネー「e JALポイント」に交換という対応になっている。
以下、自動延長があるANAのマイルを「コスパよく」消化していく方法を紹介する。
マイルを一番有効活用できるのは特典航空券
2020年から4回、有効期限が延長された(画像:ANA公式サイトより)
よくANA便に搭乗している人やANAのクレジットカードを使っている人なら、3月末以降、毎月末に有効期限を迎えるマイルが出てくるだろう。
筆者がまさにその状態で、ひとまず有効期限が2024年6月末までのマイルについては、帰省するタイミングで特典航空券に交換して消費した。しかし7月末からも次々と有効期限がやってくるので、どのようにして有効に使うかで頭を悩ませている。
マイルの使い方で一番コスパが良いのは、もちろん特典航空券に交換することだ。ANAマイルは通常1マイル=1円分として利用することができるが、特典航空券に交換すると、その2〜3倍くらいの価値になる。1万マイルで3万円の航空券が買えるイメージだ。
ANAの特典航空券は1区間(片道)5000マイルから利用できる。必要なマイルはシーズンによって異なり、移動する距離が長くなるほど、より多くのマイルが必要になる。
ANAの国内特典航空券の必要マイルチャート(画像:ANA公式サイトより)
筆者は羽田〜伊丹間1区間280マイルのフライトに利用したのだが、搭乗した時期がローシーズン(旅行者の閑散期)だったので、お得な片道5000マイルで利用することができた。なお、ANAマイルで特典航空券を予約する場合、別途、国内線旅客施設使用料(PFC)が必要になる。その料金は空港によって異なり、大人の場合、羽田空港が370円、伊丹空港が340円となる。
本来、利用したいと考えていたフライトの料金は1万7410円だったので、PFCの710円(羽田370円+伊丹340円)をのぞいて計算すると、(1万7410円−710円)÷5000マイル=3.34円で、1マイルの価値が3.34円になった。
実はマイルを使うために、すでに航空券を購入している夏の北海道旅行のANA便を払い戻して、特典航空券で予約し直すことも考えた。
北海道旅行の往復の運賃は4万2580円だったのだが、特典航空券に交換するとなると、ハイシーズンということもあって片道9000マイル、往復では1万8000マイルも必要になる。払い戻しの手数料やPFCなどを含まずにざっと計算したところ、1マイルの価値が2.36円(4万2580円÷1万8000マイル)になったので、よりお得感のある羽田〜伊丹間の特典航空券に5000マイルを利用したというわけだ。少し手間だが、このように1マイルの価値を計算すると、どの特典航空券に交換するのがお得なのかがよくわかる。
3000マイルから利用できる「今週のトクたびマイル」
ANAでは通常より少ない1区間3000マイルから特典航空券が利用できる「今週のトクたびマイル」というサービスも行っている。毎週火曜日に対象となる路線がわかり、その翌日の水曜から翌週の火曜までに予約して、木曜から翌週の水曜までに搭乗するという直前予約スタイルだ。思い立った時にふらっとマイルで旅行ができる。
「今週のトクたびマイル」は毎週火曜日の12時に路線発表(画像:ANA公式サイトより)
3月5日に発表された路線では、羽田〜伊丹が4500マイル、羽田〜宮崎が6000マイル、羽田〜宮古が8500マイルと、魅力的なフライトが数多く表示されていた。もしこの時期に休みが取れて、行きたい場所が対象路線になっているなら、「今週のトクたびマイル」で、さらにお得に旅行ができる。
もちろんANAマイルは国際線の特典航空券にも利用でき、1万2000マイルから海外旅行が目指せる。ただ、国際線の場合、別途、燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)が必要になる。サーチャージは引き下げの傾向にあるものの、欧米は往復7万6000円、ハワイは往復4万9000円とそれなりに費用がかさむ(2024年3月31日までの購入の場合)。マイルを大幅に消費したいからといって国際線の特典航空券に交換するのはコストがかかり過ぎる。もちろん行きたいと思っている旅行先があるなら、国際線の特典航空券に交換するのもアリだ。
今、行きたい旅行先がないという場合は、「ANA SKY コイン」に交換するという方法がある。ANA SKY コインはANAの航空券や旅行商品の支払いに使える電子マネー。1マイル=1コインに交換でき、1万マイル以上を交換する場合は交換レートが1.2倍に。会員ステイタスやANAカードの種類によっては最大1.7倍になる。
ANA SKY コインの有効期限は交換月より12カ月目の末日までになるので、実質、マイルの有効期限を1年延ばすことができる。しかも特典航空券の旅行ではマイルは付かないが、ANA SKY コインで購入した航空券の場合はマイルが付く。特典航空券と比較するとお得感は目減りするものの、有効期限が延ばせることや、新たにマイルが貯まるところが魅力だ。
マイルを使う選択肢として、次に考えたいのがANAグループの関連サービスで利用することだ。海外旅行なら「ANAワールドホテル」、国内旅行なら「ANAトラベラーズホテル」の加盟ホテルで、ANAのマイルを1マイル=1円相当で利用することができる。旅行中のホテルをいつもよりグレードアップしたり、ホテル代が無料になる分、アクティビティやグルメの予算を増やしたりと、旅行をより有意義に楽しめそうだ。
ANAグループのショッピングサイトでも1マイル=1円相当で利用できる。トラベルグッズやANAオリジナル商品など、国内外の厳選された商品を販売する「ANAショッピング A-style」のほか、ANAのグッズや日用品、食品、ファッションなど、さまざまな商品を販売する「ANA Mall」の買い物に利用できる。ANA厳選の商品を用意する「ANAセレクション」でも利用でき、こちらでは5000マイルから商品に交換できる。
機内販売の商品もマイルで購入できるが、国内線機内やANAラウンジ内のANA Wi-Fiからアクセスできるオンラインショッピングサービス「ANA STORE@SKY」からのみ購入可能。機内やANAラウンジで事前に設定しておけば、飛行機を降りてからでも2日間は利用できる。
「ANA Pay」にチャージして日常的な買い物に使う
ここまででマイルの使い道が見つからなかった人なら、ANAのキャッシュレス決済サービス「ANA Pay」を活用しよう。1マイル=1円相当としてチャージでき、「Apple Pay」や「Google Pay」に設定することで、全国のiD加盟店やVisaのタッチ決済加盟店、JCBのSmart Code対応加盟店などで利用できる。
「ANA Pay」。ANAの会員サービス「ANAマイレージクラブ アプリ」(AMCアプリ)で使える(筆者撮影)
コンビニやスーパー、ドラッグストアなど、日常的に利用するさまざまな店舗で使えるので、マイルで家計が節約できそうだ。ただ、1マイル=1円相当ではお得感に欠けると思う人には、「ANAのふるさと納税」もある。「ANAのふるさと納税」にはマイルから直接寄付することはできないが、「ANA Pay」にチャージすることで寄付が可能になる。
2024年3月31日のマイルの有効期限に向けて、ANAでは「マイル大感謝祭」を行っている。3月31日までなら、ANA SKY コインの交換レートが、通常レートに一律0.2を加算したレートで交換可能だ。
ANAトラベラーズホテルやANAワールドホテルでも、マイル利用分の20%がボーナスマイルとして戻ってくる。ANAショッピング A-style、ANA Mall、ANAセレクションでも、マイル利用分の20%が戻る。このキャンペーンはいずれも2024年3月31日まで。
(綿谷 禎子 : ライター)