軽バンからキャンピングカーなど選択肢広がる! 「車中泊」流行から定番化? 一時期増加の「トラブル」 回避方法とは

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新しい旅のスタイル「車中泊」とは

 自由に、好きな時に好きなところへクルマで旅をする。そんな「車中泊」でのドライブ旅行が増えています。
 
 クルマに寝泊まりする旅のスタイルは、他者と接触する機会が少ないことから、コロナ禍をきっかけに注目を集めましたが、いまでは定番化しつつあるともいわれています。

昨今は流行りから定番化しているという「車中泊」(画像はホンダ「N-VAN」のホンダアクセス仕様)

 キャンピングカー文化の普及団体、一般社団法人日本RV協会の調査によれば、2022年には、キャンピングカーが購入されたきっかけとしては「旅」が87%と最も多く、第2位の「キャンプ」47%をひき離しています。

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 以前よりキャンプとキャンピングカーの相関関係が薄まっており、車中泊でのドライブ旅行そのものを楽しむ人が増えているともいえそうです。

 こうした最近の変化について、オートキャンプを普及する一般社団法人日本オートキャンプ協会の担当者は次のように語ります。

「元々車中泊は、道の駅の駐車場などに車の中で泊まるという意味でしたが、キャンプ場の中でも車の中で泊まる人も車中泊と呼ぶようになりました。

 車中泊は宿泊費用が安いので、流行っているのだと思います。

 宿泊施設の代わりに車中泊するのがメジャーになり、キャンプ場の車中泊も増えてきました」

 それでは、車中泊にはどんな魅力があるのでしょうか。

 車中泊の楽しみ方として、前出の担当者は「キャンプの車中泊の楽しみ方として、テントはリビングのように活用し、クルマを寝室のように使う方法があります」と話します。

 もしキャンピングカーでなく普通車で車中泊するという場合は、就寝スペースをしっかり確保するとよいでしょう。

 自分の体格より広く、フラットなスペースをつくることがポイントです。

 具体的には、まず、シートをフルフラットにして寝てみて、足を伸ばせるかを確認します。

 実際に寝てみると細かい凹凸や傾きがあるので、体をずらして快適な位置を探り、どこに不快が残っているか把握。

 最後に、不快が残った部分にクッションやシート、段ボールを敷いて調整します。

 さらに、行きたいところへ自由に行ける点も車中泊の魅力として挙げられるでしょう。

 宿泊施設を利用するのとは違い、チェックイン・アウトといった時間を気にする必要がありません。もし遊び足りなければ、その場に連泊することも自由です。

 また、誰にも邪魔されず、自分たちだけの空間も手に入れられます。一人で旅する場合は、クルマの中で好きな音楽を思い切り聞く、とことん映画を見るといった楽しみ方もできます。
 
 加えて、自然を感じられるのも車中泊の醍醐味でしょう。満天の星のもと虫の声を聴きながら眠り、美しい朝日と鳥のさえずりで目覚める。移動中には窓ガラス越しに蒼く連なる山々を眺める、といったことは車中泊でしか味わえないかもしれません。

 他にも、ペットを連れていける点も多くの人に支持されています。

増えている車中泊トラブル! 快適に車中泊ができる場所はドコ?

 車中宿泊できる場所といえば、これまでは道の駅や高速道路のSA・PA、オートキャンプ場などでした。

 しかし、車中泊人口の増加にともない、専用施設も誕生しています。

「RVパーク」は、快適に安心して車中泊ができる場所として、日本RV協会が公認する車中泊専用施設です。全国の温泉や旅館、道の駅、遊園地など400か所以上にあり、現在も整備が進んでいます。

 利用者も増えており、2023年は1万件を超えました。これは、コロナ前である2019年の10倍にあたるようです。

「RVパーク」では、駐車スペースに余裕があり、トイレはもちろん100V電源が使えるほか、ゴミ処理もでき、クルマで15分圏内に入浴施設もあります。キャンピングカーでなくても利用でき、多くの施設では予約の必要もありません。

 利用料金は、平均すると一泊2000円から3000円程度です。1週間程度の滞在が可能なので、周辺を観光しながら各地のRVパークを巡るという旅も実現可能です。

 一方で、気をつけたいのは、道の駅やSA・PAといった公共駐車場の利用です。

 必要以上に長く滞在する、生活ゴミを置いて帰る、夜間に騒音をたてるといった、公共駐車場の利用目的から外れる行為が問題視されるようになったため、車中泊利用が難しい施設もでてきています。

 車中泊先を決める際のポイントについて、前出の担当者は次のように語ります。

「夜間は騒音に気をつけることや、車中泊ができる場所であるか確認することが大切です。また、RVパークなどを活用するとよいと思います」

車中泊では「プライバシー保護」もトラブル防止には重要な要素(画像はホンダ「N-VAN」のホンダアクセス仕様)

 また、実際に車中泊する際は、クルマの中に長時間滞在することから、健康管理もポイントになります。

 まず、エコノミークラス症候群を避けるため、同じ姿勢を続けず、こまめに体を動かすよう意識するとよいでしょう。

 そのためには、車内に体を動かせるスペースを確保することが必要かもしれません。また、寝るときはできるだけ水平になり、足が伸ばせる姿勢をとるとよいようです。

 また、適温を保つためにとアイドリング状態で寝ると、排気ガスが車内に入り込み一酸化炭素中毒を引き起こす恐れがあります。

 こうした状況で死に至るケースは毎年のように報告されており、就寝時などは確実にエンジンを切ることが大切といえるでしょう。

※ ※ ※

 自由な時間を過ごし自然に触れられる車中泊の旅は、経験すれば人生が変わる可能性もあります。

 そんな車中泊のための施設も増えており、なかには、一般的には寝泊まりできないお城などに整備されていることもあるようです。