Steam上からワーナー・ブラザースが一部のゲームを削除しようとしていることが明らかに
ワーナー・ブラザース・ディスカバリーが、傘下のゲームパブリッシャーからリリースされたゲームをSteam上から削除していることが明らかになりました。
Warner Bros. to delist Adult Swim-published games from Steam - Polygon
https://www.polygon.com/24093815/warner-bros-adult-swim-games-steam-delisting
Adult Swim GamesはアメリカのカートゥーンネットワークであるAdult Swimブランドのゲームを販売するゲームパブリッシング部門です。Adult Swim Gamesと協力してゲームを開発したことのあるゲーム開発者のOwen Deery氏が、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーがAdult Swim Gamesからリリースされたゲームの削除を計画していると語りました。
Deery氏は「ワーナー・ブラザース・ディスカバリーは私の開発したSmall Radios Big TelevisionsをSteamとPlayStation Storeの両方から削除すると通知しました」とXにポストしています。
WarnerBros Discovery have informed me they will be 'retiring' my game Small Radios Big Televisions from both Steam and PS4 stores.
I've made it free to download here: https://t.co/Fn82RfKBcf
Thanks for all your support. pic.twitter.com/DCWsVtFYlR— Owen Deery (@owendeery) March 5, 2024
なお、Deery氏はAdult Swim GamesからSmall Radios Big Televisionsの削除を通知されたのち、Small Radios Big Televisionsを誰でも無料でダウンロードできるようにしました。
Fire Face - Games
https://fire-face.com/games/srbt.html
ワーナー・ブラザース・ディスカバリーはほぼ完成済みの映画「バットガール」や「コヨーテVSアクメ」の公開を中止したり、ストリーミングサービスから複数のシリーズ作品を削除したりしことでも知られています。
なお、Steam上からAdult Swim Gamesのゲームが削除されることとなれば、19タイトルがSteamから消えることとなります。
Steam:Adult Swim Games
https://store.steampowered.com/bundle/153/Adult_Swim_Games/
PolygonはAdult Swim Gamesと協力してゲームを開発した経験のあるゲームメーカーと連絡を取り、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーからゲーム削除通知を受けたかを質問しました。2つのゲームスタジオはワーナー・ブラザース・ディスカバリーから同様の警告を受けたと回答しています。
2013年にAdult Swim Gamesからリリースされた「Soundodger+」の開発者であるマイケル・モリナリ氏は、2024年3月の第2週初めにワーナー・ブラザース・ディスカバリーから「ゲームが今後60日以内にSteamから削除される」という警告を受けたそうです。モリナリ氏は「ゲームがSteam上から表示されなくなるだけなのか、削除されるのかは不明です。私はすべての知的財産とゲームの権利を保持しているため、所有権を私の会社に譲渡するよう担当者に懇願しています。私はワーナー・ブラザース・ディスカバリーにSteamのアプリケーションの移転に関するページのリンクを送信し、文字通り3回マウスをクリックすることで所有権を私に譲渡することができることを説明しましたが、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー側は私の要求を拒否しました」と語っています。
ワーナー・ブラザース・ディスカバリー側はモリナリ氏に対して、Steamでゲームの所有権を譲渡できない理由を「物流とリソースの制約」および「チームの能力の限界」によるものであると説明したそうです。モリナリ氏はワーナー・ブラザース・ディスカバリーからSoundodger+を再度リリースすることを許可されたそうですが、既存のSteamページが削除されてしまえば「10年以上にわたるダウンロード履歴やコミュニティガイド、レビューコメント、パッチノートなどの数々が突然消えてしまうことになる」と嘆いています。また、再リリースの際にはクレジットからワーナー・ブラザース・ディスカバリーの名前を削除してほしいとも通達されたと明かしています。
Fist Puncherを開発したTeam2Bitのマット・レヴァンドフスキー氏も、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーから削除通知を受けたとPolygonに語っています。レヴァンドフスキー氏は「社内業務の変化」によりゲームを削除せざるを得なくなったと説明されたそうです。
レヴァンドフスキー氏もFist Puncherの所有権を譲渡するよう求めたそうですが、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーからの回答は「物流と資源の制約により所有権を譲渡しない決定を下した」というものでした。レヴァンドフスキー氏は「Fist Puncherがリリースされてから11年が経過しますが、我々はSteamを通じてこのゲームのコミュニティを構築してきました」「我々は長年にわたってAdult Swimと協力して素晴らしい経験を積んできました。SteamでFist Puncherをリリースするのに協力してくれた元のチームは、小規模スタジオの面白くてユニークなゲームを向上させることに情熱を思っていました。とはいえ、Steam上でのFist Puncherの所有権が我々に譲渡されない場合、当社独自のアカウントでゲームを再リリースしなければいけなくなります。当社はFist Puncherを所有しているため、再リリースは確実に可能です。ただし、ゲームの歴史を保存することに情熱を注ぐものとしては、企業のお役所仕事によってこれまでSteam上で築いてきたコミュニティが失われるところを見るのは非常に残念です」と語っています。
なお、PolygonがAdult Swim Gamesからゲームをリリースしている10のゲームスタジオおよび個人開発者に連絡を取っていますが、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーから連絡を受けていないという開発者も、「おそらく近いうちに彼らから連絡があるでしょう」と語ったそうです。
PolygonはAdult Swim Gamesからリリースされたゲームを削除するという計画について、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーにコメントを求めていますが、記事作成時点では返答は得られていません。