宇宙航空研究開発機構(JAXA)は日本時間2024年2月17日に「H3」ロケット試験機2号機の打ち上げを実施しました。ロケット第2段は所定の軌道に到達し、搭載されていた小型副衛星2機も分離されたことがJAXAから発表されています。【最終更新:2024年2月17日14時台】


打ち上げに関する情報は以下の通りです。


■打ち上げ情報:H3ロケット試験機2号機

ロケット:H3ロケット(H3-22S)
打ち上げ日時:日本時間2024年2月17日9時22分55秒【成功】
発射場:種子島宇宙センター大型ロケット発射場(日本)
ペイロード:ロケット性能確認用ペイロード(VEP-4)、小型副衛星2機


H3ロケットは従来の主力ロケット「H-IIA」の後継機としてJAXAと三菱重工業が開発した日本の新型ロケットです。試験機1号機による初飛行は2023年3月7日に実施されましたが、第1段の切り離し後に第2段の「LE-5B-3」エンジンに点火することができず打ち上げは失敗し、搭載されていた先進光学衛星「だいち3号(ALOS-3)」は失われました。原因を調査したJAXAは第2段エンジンの電気系統で発生した可能性がある短絡(ショート)や過電流を3パターンまで絞り込み、その全てに対策を行った上で今回の試験機2号機打ち上げに臨みました。


早期のフライト実証を行いつつ今後予定されている打ち上げへの影響を最小限に抑えるために、試験機2号機ではロケット第2段の軌道投入がメインミッションとなりました。試験機1号機の解析結果を最大限活かすため、試験機2号機でも機体の形態は前回と同じH3-22S(※)が採用され、第2段エンジン1回目の燃焼終了までは試験機1号機で予定されていたのと同じ経路で飛行することになりました。


※…第1段エンジンを2基搭載、固体燃料ロケットブースター「SRB-3」を2基装着、ペイロードを保護するフェアリングはショート形態。


ペイロードは「だいち3号」と同じ質量特性を持つ質量約2.6トン・全長約3.9mの「ロケット性能確認用ペイロード(VEP-4)」の他に、2機の小型副衛星「CE-SAT-IE」「TIRSAT」が搭載されました。ペイロードについて詳しくは以下の関連記事をご覧下さい。


関連記事:H3ロケット試験機2号機のペイロードとは? ロケット性能確認用ペイロードと小型副衛星2機を搭載(2024年2月16日)


日本時間2024年2月17日9時22分55秒に種子島宇宙センターを飛び立ったH3ロケット試験機2号機は、発射1分56秒後にSRB-3を分離(※発射からの経過時間はJAXA発表の速報値、以下同様)してからは極軌道へ入るために飛行経路を南の方向へ大きく変更(ドッグレッグ)。発射から5分前後の第1段エンジン燃焼停止と第1段・第2段分離に続き、発射5分15秒後には試験機1号機で果たせなかった第2段エンジンの点火に成功して飛行を継続します。


発射16分22秒後には第2段エンジンが第1回燃焼を停止し、H3ロケット試験機2号機の第2段は所定の軌道へ投入されました。ペイロードのうち小型副衛星のCE-SAT-IEは発射16分43秒後、TIRSATは発射25分3秒後にそれぞれ分離されて地球低軌道に投入されています。また、ロケット第2段を軌道から離脱させてインド洋へ制御落下させるための第2段エンジン第2回燃焼の実施に続き、発射1時間48分14秒後には主衛星分離機構の実証としてVEP-4の分離確認試験が実施されました。


■打ち上げ関連画像・映像

【▲ 種子島宇宙センター大型ロケット発射場から打ち上げられたH3ロケット試験機2号機(Credit: JAXA)】

■打ち上げ関連リンク

直近のロケット打ち上げ情報リスト

 


Source


JAXA - H3ロケット試験機2号機の打上げ結果についてJAXA
- H3ロケット試験機2号機打上げ経過記者会見(YouTube)JAXA
- H3ロケット試験機2号機打上げライブ中継(YouTube)

文/sorae編集部 速報班