簡単にパーツを取り外せることが特長のノートPCを開発するFrameworkが手がけたグラフィックボード搭載のハイスペックモデル「Framework Laptop 16」が発売されました。このPCを手に入れたThe Vergeなど海外メディアが続々とレビューを投稿しています。

Framework Laptop 16 review: two weeks with the ultimate modular laptop - The Verge

https://www.theverge.com/24047424/framework-laptop-16-review

Framework Laptop 16 Delivers Great Linux Support & Performance, Excellent Customizability Review - Phoronix

https://www.phoronix.com/review/framework-laptop-16

Framework Laptop 16 review: unadulterated ambition | Digital Trends

https://www.digitaltrends.com/computing/framework-laptop-16-review/

Framework Laptop 16 review: This is the laptop I'd buy for myself | Tom's Guide

https://www.tomsguide.com/reviews/framework-laptop-16

Framework Laptop 16はノートPCでありながらCPUやバッテリーなど各種パーツを手軽に取り換えられるのが特長です。標準搭載のCPUはAMDのRyzen 7 7840HSまたはRyzen 9 7940HSから選択可能で、グラフィックスはRadeon 780Mを内蔵。後からRadeon RX 7700Sを追加することもできます。メモリソケットはM.2 2280とM.2 2230の2つ。Wi-Fi 6EおよびBluetooth 5.2に対応しています。



I/Oポートは自分自身でカスタマイズ可能。両サイドに取り外し可能なソケットが付いていて、USB-C、USB-A、HDMI、DP、イーサネット、microSD、オーディオなどから選んで取り付けることができます。このほか、85Whのバッテリー、1080p 60fpsのインカメラ、バックライト付きキーボード、解像度が2560×1600ピクセル(16:10)でリフレッシュレートが165Hz、最大輝度500ニトのディスプレイなどが搭載されています。



OS、メモリ、ストレージなどを自分で構築可能な「DIY」モデルと、Windows 11といくつかの部品があらかじめ搭載された「プレビルド」モデルの2種が存在。前者の価格は1399ユーロ(約22万5000円)で、後者は1699ユーロ(約27万3000円)です。



The Vergeは、Framework Laptop 16を「これまで触れた中で最も野心的なノートPC」と評価。なんと言ってもユーザーによる修理が可能でかつてないカスタマイズ性を備えている点が好印象だと述べました。

それはそれとして不具合もいくつかあるようで、過去2週間触れた中で平均して1日1回は完全にフリーズして再起動するハメになったそうです。高いカスタマイズ性があだとなっているのか、本体と入力モジュールの間には「たわみ」があり、継ぎ目も目立ってしまっているとのこと。排熱にも難があり、しばしばファンが大きな音で動作し、時にはCPUが90度以上になってしまうこともあるとThe Vergeは指摘しています。なお、排熱や一部フリーズの問題に対応する修正パッチが今後配布される予定だとのこと。



The Vergeは、Framework Laptop 16はとても完成品とは言えないと指摘しつつ、CPUのパワーは十分で、MacBook ProやDell XPS 15のようなプレミアム端末またはミッドレンジのゲームマシンに値すると考えるのが妥当、OLEDではなくHDRにも対応していないものの、ディスプレイは滑らかで色鮮やか、そして驚くほど高コントラストと評価し、全体的に悪い点が目立つものの、ガジェットオタクにとっては夢のような端末であると述べました。

所有者はCES 2024にこのノートPCを持ち込んでいたようで、そのときはカスタマイズ性の高さを生かし、持ち運ぶときはRX 7700Sを取り外してホテルに置いていたとのこと。取り外しは2分程度で完了するそうです。





The Vergeが測定した、RT 7700S装着前・装着後のベンチマークスコアは以下の通りです。

ベンチマークFramework Laptop 16 (Ryzen 7940HS, Radeon 780M)Radeon 7700S装着後4K出力時間7分4秒4分11秒Geekbench 6 GPU スコア3226774185Assassin's Creed Valhalla (1080p highest)32fps95fpsCyberpunk 2077 (1080p ultra)30fps74fpsDeus Ex Human Revolution (1080p highest)27fps108fpsRed Dead Redemption 2 (1080p highest)21fps62fpsShadow of the Tomb Raider (1080p highest)33fps125fpsShadow of the Tomb Raider (1200p highest)31fps119fps

このほか、1回の充電で平均5.5時間しか動作しないこと、ゲームをダウンロードするだけで熱くなり膝の上では使えないと判断したことが残念だったと評価。良い点として、I/Oポートがいつでも取り外せるので、別途USBハブを持ち歩く必要がなくなったこと、デフォルトのキーボードは今すぐカスタマイズする必要性を感じないほど文句なしの出来栄えであることを良い点と評価しました。

テクノロジー系メディアのPhoronixはFramework Laptop 16について「少し重く、カスタマイズすると見た目がめちゃくちゃになる」と評価しつつ、これ以外は文句がないと指摘。Linuxを自分で簡単にセットアップするためのガイドをFrameworkが公開していて、実際にLinuxをセットアップしてうまく機能し、ウェブブラウジングなどのベンチマークで他機種と遜色ない結果を出せたと述べています。「全体的に膨大なカスタマイズ性やアップグレードオプションがあるモバイルPCを求める人にとって夢のようなマシン」とPhoronixは述べました。



digitaltrendsはキーボードについてThe Vergeとは違った評価をしていて、RGBバックライトがきれいなことは認めるものの、キーストロークが公称値1.5mmにしては押しにくく精度が低いと指摘。ただ、リボンケーブルを1本も使用せずに取り換えられるのは驚いたとコメントしています。



Tom's Guideは、「前例のないレベルのカスタマイズが可能で魅力的に見えるかもしれませんが、組み立て作業に慣れていないとストレスがたまるかもしれません」「MacBookほど長持ちはしないでしょうが、最先端のゲーム用ノートPCと同程度には強力だと思います」「多用途性、修理可能性といった点で比肩するものは他になく、2024年に自分用のノートPCを買うとしたら間違いなくFramework Laptop 16を選ぶでしょう」とコメントしました。