町田市は、都市のにぎわいや居心地のよい住環境、豊かな自然が身近にバランスよくある街です。小田急小田原線、JR横浜線、東急田園都市線、京王相模原線が通るターミナル駅で、新宿・渋谷など都心方面だけでなく、横浜方面や八王子方面へも好アクセス。2023年10月には、町田市を本拠地とするサッカークラブ「FC町田ゼルビア」がJ1リーグへの昇格を決め、話題となりました。今回は、町田市の魅力と住宅事情について紹介します。

町田市役所本庁舎のエントランス(2023年11月筆者撮影)

人口43万人超のにぎわいある街へと発展

町田市は、1958年に鶴川村、町田町、忠生村、堺村を合わせて東京都で9番目の市として誕生しました。東京都の南西部にあり、八王子市、多摩市、相模原市、大和市、横浜市、川崎市と接しています。

現在の町田市の大きさは、東西22.3キロメートル、南北13.2キロメートル。面積は71.55平方キロメートルです。また、標高は一番高い場所が364メートル、一番低い場所は27メートルと、起伏の大きい街でもあります。

町田市の位置図(出典:町田市ホームページ)

位置図を見るとわかるように、町田市域の多くは神奈川県に接しています。また、小田急小田原線、東急田園都市線、JR横浜線、京王相模原線の駅があり、街の雰囲気も地域ごとに大きく異なります。また、駅からバス便エリアの住宅地が多いのも町田市の特徴です。

東玉川学園の住宅街の桜並木(画像素材:PIXTA)

江戸時代の町田は、甲州や八王子、神奈川を結ぶ場所として繁栄しました。昭和となり、町田駅周辺は、都市計画区域に指定される以前に耕地整理事業によって整備されていきました。1958年2月に町村合併により町田市が誕生した時点の人口は6万人超。その後、高度成長期の旺盛な住宅需要から鶴川地区で大規模な区画整理事業が推進され、鶴川団地が誕生。さらに、木曽山崎団地の開発や忠生地区での土地区画整理事業が進められました。

つくし野駅前(画像素材:PIXTA)

1963年には東急田園都市線が着工され、1968年につくし野駅が開業。1976年には南町田駅(現在の南町田グランベリーパーク駅)がオープン。沿線では土地区画整理組合が設立され、街づくりがスタートしました。

小田急線とJR横浜線を結ぶ町田駅のペデストリアンデッキ(筆者撮影)

かつて小田急線町田駅と国鉄原町田駅(現在のJR町田駅)は、約700メートル離れていました。関係者の意見を参考にしつつ、1980年の再開発によって位置を移動。ペデストリアンデッキで結ばれ、商業施設がつながる現在の町田駅のかたちになりました。

多摩境駅の住宅地(画像素材:PIXTA)

町田市北部の多摩境駅周辺は、多摩丘陵部は約20万人の人が暮らす多摩ニュータウン開発の一部として街区一帯が整備されました。こうした街の開発によって、町田市の人口は2023年12月1日時点で43万人を超える規模へと大きく増加。東京都市部では、八王子市に次ぐ人口数を誇る街へと大きく発展しました。

【町田市のデータ】
総面積…71.55平方キロメートル
人口…43万532人
世帯数…20万6,985世帯
※2023年12月1日時点

住み続けたい人が9割超! 人気の理由1位は「みどりの環境」

町田市の人口が増えている要因として挙げられるのが、バランスのとれた暮らしやすい街であることです。町田市が実施した2022年度町田市市民意識調査報告書によれば「暮らしやすい」(46.8%)と「やや暮らしやすい」(41.0%)を合わせた《暮らしやすい》と感じる層の割合は 87.8%。町田市への愛着は、「感じている」(47.6%)と「やや感じている」(37.8%)を合わせた《感じている》層の割合は 85.4%となっています。

定住意向については、「住み続けたい」(53.4%)の割合が最も高く、「やや住み続けたい」(37.5%)であり《住み続けたい》と感じる層の割合が90.9%に。「調査では、多くの人が暮らしやすく、愛着があり、住み続けたい街であることを示しています。

生活環境の満足度については、以下のような順位になっています。

1 みどりの環境(公園や緑地、里山など) 87.2%
2 住んでいる住宅や地域での生活 80.6%
3 観光(買い物・お出かけスポット、お祭り・イベントなど) 76.8%
4 住んでいる地域の災害対策 73.9%
5 景観、まちの美化 73.4%
6 住んでいる地域の防犯・交通安全対策 67.4%
7 医療体制 66.0%
8 交通の利便性 64.6%

上位は、自然や住環境、買い物やレジャーの項目になっています。防災・防犯や、医療、交通利便性も満足度が高く、町田市がバランスのとれた街であることが分かります。

まずは、町田のみどりの環境について見てみましょう。

名勝指定の薬師池公園など多くの公園が点在

薬師池公園の春の様子(画像素材:PIXTA)

町田市内には、豊かな自然が継承された公園が多くあります。薬師池のある町田薬師池公園もその一つ。薬師池は水田用水池としてつくられたもので、1982年に「新東京百景」、1998年には「東京都指定名勝」に指定されています。梅、椿、桜、フジ、花しょうぶ、紅葉など四季を通して自然の彩りを楽しめます。江戸時代の古民家も移築されており、やくし茶屋では甘酒や抹茶も楽しめます。2020年4月には、町田薬師池公園 四季彩の杜 西園がオープン。農産物直売所や町田産の食材を使った食事ができるカフェ・レストラン、クラフト体験などができる体験工房、さまざまなイベントが実施される芝生広場なども用意されています。

町田GIONスタジアム(町田市立陸上競技場)(画像素材:PIXTA)

J1リーグへの昇格を果たしたサッカークラブ「FC町田ゼルビア」のホームとなる町田GIONスタジアム(町田市立陸上競技場)があるのが、町田市立野津田公園です。鶴川駅や町田駅、南町田グランベリーパーク駅からもバス便があります。園内には、ピクニック広場やわんぱく広場、芝生広場など子どもたちが遊べるさまざまなスポットがあるほか、野球場やテニスコート、多目的広場なども用意されています。

町田GIONスタジアム(町田市立陸上競技場)は、1990年に完成し、2009~2014年の改修工事、2021年のバックスタンドの増設工事により約1万5,000席のスタジアムになりました。ホームチーム「FC町田ゼルビア」がJ1リーグへ昇格となり、さらに利用者の増加が期待されます。

芹ヶ谷公園内の国際版画美術館(画像素材:PIXTA)

町田駅から比較的近い、緑や水の自然が豊かな場所が芹ヶ谷公園です。国際版画美術館が公園内にあり、ジャブジャブ池やせせらぎ、虹と水の広場、多目的広場など親子で遊べるスポットが豊富。芝生広場や、ターザンロープや各種遊具のある冒険広場のほか、芹ヶ谷公園グラウンドもありサッカーや野球などのスポーツが楽しめます。

鶴間公園の広場(筆者撮影)

さらに、自然観察園や自然館のある忠生公園や南町田グランベリーパークに位置する鶴間公園、多摩丘陵に位置する小山内裏公園など、公園施設が市内に充実しています。

小山内裏公園(画像素材:PIXTA)

シラカシやクヌギなどの高木が茂り、野鳥や昆虫などが生息するかしの木山自然公園、成瀬駅周辺に流れる恩田川沿いのサクラ並木など、風光明媚(めいび)な場所も町田市内に点在します。

鶴川駅にある旧白洲邸 武相荘は、白洲次郎・正子夫妻がかやぶきの家を購入し暮らした場所。現在は、資料館として公開され調度品なども展示されています。

武相荘(画像素材:PIXTA)

町田市内には農家も多く、ブルーベリーなどが収穫体験できる農園もあります。自分のつくった農産物を直売する場所も。町田市が運営する青空市「市役所. まち☆ベジ市」では、野菜や卵などを月1回、農家から直接購入できます。

続いて、町田市の商業施設について見てみましょう。

大型商業施設が豊富! 仲見世商店街などのグルメスポットも

町田市役所のある町田駅は、JR横浜線と小田急線が交わる商業の中心地です。駅周辺には、ルミネ町田、町田モディ、町田東急ツインズ、町田マルイ、小田急百貨店町田店といった大型商業施設が立地。さらに、ミーナ町田、町田ジョルナといった商業モールもそろっています。駅周辺は、多くの商店街がありにぎわっています。

仲見世商店街の入口(筆者撮影)

駅周辺を訪ねて感じるのが、グルメスポットの豊富さ。カフェやレストラン、洋菓子店などさまざまなお店があります。なかでも、レトロなアーケード街である町田仲見世商店街は、中華からスイーツまで多彩な飲食店が並ぶ人気のエリア。ラーメンや外国料理のお店もあり、多彩な食文化が味わえます。歴史ある街だけに、創業100年を超えるような商店なども街なかに点在。いろんな発見があるのも町田駅の魅力と言えるでしょう。

グランベリーパークの外観(筆者撮影)

町田市の商業施設といえば、2019年11月に南町田に開業したグランベリーパークも注目です。駅と商業施設、公園が一体となった新しい街で、モール内にはアウトレットなど240店を超えるバラエティー豊かなお店が出店しています。かつてあったグランベリーモールをスケールアップ。約2,000台の駐車場も用意され、映画館などもあります。カフェや飲食店などのグルメスポットも豊富で、買い物ついでの食事にも便利です。

町田駅周辺の飲食店街(筆者撮影)

町田市やその周辺には、玉川大学、国士館大学、桜美林大学、昭和薬科大学、法政大学など多くの大学があり、18歳から20歳の若い層の転入者が多い傾向にあります。町田駅周辺の商業は、こうした若年層の流入も支えています。

町田駅周辺のにぎわい(筆者撮影)

小田急小田原線や東急田園都市線、JR横浜線、京王相模原線などで町田駅、南町田駅などと結ばれており、車でも商業ゾーンにアクセス可能。スポーツや公園、商業施設などのレジャーがオフタイムに楽しめるのは、町田市で暮らす大きなメリットでしょう。

町田市役所本庁舎(筆者撮影)

2012年には、耐震性に優れた町田市の新市庁舎が完成。分散していた行政機能を集約し、利便性向上につながりました。町田駅徒歩約6分の町田シバヒロは、町田市役所本庁舎跡地に2014年にオープンした芝生広場。約5,700平方メートルの敷地で、スポーツイベント、フリーマーケットやワークショップなどの多彩な催しを行うことができます。

町田シバヒロ(筆者撮影)

現在、小田急小田原線鶴川駅では、鶴川駅周辺再整備事業が進められており、鶴川駅の橋上駅舎化や自由通路、北口広場の整備が進められています。南口の土地区画整理事業なども進められており、回遊性やにぎわいを高めた街づくりが進みそうです。

鶴川駅北口広場の整備地(筆者撮影)

次に町田市の住宅事情について紹介します。

渋谷方面、新宿方面へのアクセスが便利

東西南北に広がる町田市では、小田急小田原線、東急田園都市線、JR横浜線、京王相模原線が通っていて、街によって通勤・通学事情が大きく異なります。小田急小田原線は町田市内の中央付近を通っており、市内には町田駅、玉川学園前駅、鶴川駅があります。

鶴川駅前(筆者撮影)

小田急小田原線町田駅から新宿駅へは40分前後でアクセス可能。玉川学園前駅や鶴川駅からも直通で新宿方面へ行くことができます。小田急線沿いは、鶴川団地などバス便エリアの住宅地も多く、町田バスセンターなど駅を基点とした路線が設定されています。区画整理された住宅地も多く、土地分譲や戸建て分譲も行われています。

鶴川駅近くの鶴川街道(筆者撮影)

京王相模原線多摩境駅も、新宿へアクセスしやすい場所です。隣の橋本駅では、リニア中央新幹線の新駅の工事が進んでいます。開業すれば、品川駅へ短時間に移動が可能に。都心への交通利便性が大きく高まります。この地域は、バス便エリアを中心に新築戸建ての分譲が活発です。

つくし野駅(筆者撮影)

東急田園都市線利用の場合、市内にはつくし野駅、すずかけ台駅、南町田グランベリーパーク駅があります。つくし野駅、すずかけ台駅は、戸建て中心の閑静な住宅街が広がっています。南町田グランベリーパーク駅は、2019年より平日も急行停車駅となり渋谷方面などのアクセス性が向上。直通で渋谷駅へ40分前後、大手町駅へ60分程度で行けるようになりました。駅前では、新築マンションの分譲も行われていました。

つくし野駅の街並み(筆者撮影)

JR横浜線は、横浜方面や八王子方面へのアクセスがスムーズです。市内には成瀬駅、町田駅、相原駅があります。こちらも橋本駅へのアクセス良好で、リニア中央新幹線開業後の交通利便性アップが期待できます。成瀬駅では、新築戸建ての分譲が活発で、駅徒歩圏エリアでも4,000万円台で分譲が行われています。

新築戸建ての分譲が活発な一方で、町田市内での新築マンション分譲はそれほど多くありません。マンションを検討するのであれば、中古マンションもあわせて検討しましょう。

続いて、町田市の筆者おすすめの街を紹介します。

町田駅はストックが豊富な中古マンションが狙い目

一つ目は、町田駅です。小田急小田原線とJR横浜線が利用できるターミナル駅で、駅周辺部に商業施設が集積。買い物に便利なだけでなく、飲食店も豊富にあります。

ぽっぽ町田(筆者撮影)

町田中央通り沿いにあるぽっぽ町田は、町田駅周辺の中心市街地の商業活性化を目的として2001年に開業した町田まちづくり公社が運営するビル。2013年にリニューアルし、1階にスターバックスや憩いの場を創出。1階にあるまちの案内所 町田ツーリストギャラリーでは、町田のおいしいものや商品を紹介しています。また、沖縄や北海道の商品を取り扱うお店も入っています。

町田駅の街並み(筆者撮影)

町田駅周辺は商業系用途地域に指定されている場所が大半で、高層マンションが数多く建設されています。一方、戸建て住宅はバス便エリアなど駅からやや離れた場所での分譲が目立ちます。

町田駅から西方向にしばらく進むと神奈川県相模原市に入ります。町田駅最寄りでも、町田市アドレスの物件と相模原市アドレスの物件があるので注意しましょう。

町田駅周辺の高層マンション(筆者撮影)

町田駅での新築マンションの分譲は限られており、中古マンションが流通の主流になっています。価格は、築20年程度までのもので3LDKが4,000万円台から5,000万円台のものが中心。比較的手が届きやすい価格帯のマンションが検討できるのは、町田駅で中古マンションを探すメリットです。

新築戸建ての分譲が活発な南町田グランベリーパーク駅

続いて、南町田グランベリーパーク駅です。

グランベリーパークのアプローチ(筆者撮影)

東急田園都市線南町田グランベリーパーク駅の魅力は、何と言ってもグランベリーパークが駅前にある便利さ。買い物や食事、映画鑑賞などに加え、広々とした鶴間公園が隣接しているので、子どもと一緒に遊ぶこともできます。

南町田グランベリーパーク駅前で建設中のタワーマンション(筆者撮影)

急行利用での電車アクセスだけでなく、近くに国道246号線が通るなど車アクセスも良好です。東名高速道路や保土ヶ谷バイパスを利用できる横浜町田インターチェンジも近く、車で横浜方面や東京方面へのお出かけも便利です。

鶴間公園内の遊具(筆者撮影)

中古マンションストックは町田駅ほど多くありませんが、3LDKタイプが4,000万円台から5,000万円台中心に流通しています。都心とはやや距離が離れますが、週末のレジャーなどには便利な街なのでファミリーにはおすすめです。

南町田駅前の大規模マンション(筆者撮影)

新築戸建ての分譲は活発で、南つくし野2丁目などの整った街区では50坪程度の敷地で6,000万円台から販売されています。広い敷地面積の土地分譲もあり、ゆったりとした戸建てに住みたい家族に好適な場所です。

留意ポイントは高低差&駅から離れた住宅地

自然が身近で生活利便性も高く、住環境も良好な町田市ですが、丘陵地が多く高低差があることやバス路線の将来は留意すべきポイントです。ほかの自治体と同様に町田市も高齢化が進んでおり、団地の再生などは課題となっています。駅から離れた場所を検討する際には、その街の将来をイメージすることが大切です。

南町田グランベリーパーク駅前の街並み(筆者撮影)

まちの案内所 町田ツーリストギャラリーで配られているお店の案内カードには、町田市の商店主が町田の「好き」を一言で紹介しています。そこには、利便性が良い、緑と都市が共存、回遊しながら買い物ができる、何でもある、新旧からむ、異世代共有、などさまざまな魅力が紹介されています。

町田市中心市街地の活性化のために、原町田地域(町田駅周辺)の商店会が中心となって行う「フェスタまちだ」では、エイサーなどさまざまなパフォーマンスでにぎわいます。こうした多様性が町田市の魅力で、住み続けたくなるのも理解できます。

町田駅前の風景(画像素材:PIXTA)

にぎわいと自然が身近にある多様性のある町田市。カップルや子どもの健やかな成長を望むファミリーにおすすめです。

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