政府主体で推し進める「貯蓄から投資へ」の流れが加速するなか、2023年は個人レベルでも投資や運用戦略への関心の高まりが見られた。本記事では、SMBCグループが提供するモバイル総合金融サービス「Olive」と、新NISA制度についてプロが解説する。

※こちらは「GetNavi」 2024年1月号に掲載された記事を再編集したものです

 

私たちが解説します

クレジットカードDB・編集長 大澤日出男さん
アイティーナビ代表取締役。国内最大級のカード掲載数を誇るウェブメディア「クレジットカードDB」で、最新キャッシュレス情報を発信中。https://card-db.com/

 

経済ジャーナリスト 頼藤太希さん
Money&You代表取締役、中央大学客員講師。「はじめてのNISA&iDeCo」(成美堂出版)など著書累計120万部超。YouTube「Money&You TV」でもお金の情報を発信中。

 

【三井住友カードポイント攻勢】スマホを用いる資産運用やポイ活がより便利&おトクになって浸透中

Oliveアカウントは開設から半年足らずで約120万件。三井住友銀行の個人預金口座数は約2800万件(2023年3月末現在)なので、伸びしろもある。VポイントはTポイントとの統合を控え、さらなる躍進に期待。

認知度:9/影響:5/革新性:10

 

キャッシュレスライフがひとつのアプリで完結

三井住友カード Olive
2023年3月リリース

三井住友銀行と共同で提供。三井住友銀行の口座、カード決済、保険・証券など1つのアカウントで一括管理できる。キャッシュカード、クレカ、デビットカード、ポイント払いの4機能を集約したマルチナンバーレスカードを提供。

↑7月より、対象のコンビニ・飲食店でスマホのタッチ決済を利用した際の還元率を、最大7%に引き上げ。10月1日からは「ミニストップ」「モスバーガー」も対象店舗に追加された

 

↑10月2日よりVポイントからTポイントへの交換率を改善。従来はVポイント1→Tポイント0.8だったが、1→1.0にアップ。1→1.2に交換できるキャンペーンも話題になった(現在は終了)

 

目玉は革新的な機能と恩恵を感じやすいポイ活

「1枚のカードで4機能を切り替えられるフレキシブルペイは、Visaでは世界初。身近な店舗で最大7%の高還元を享受できる機会も増えました。VポイントとTポイントとの統合も注目」(大澤さん)

 

【新NISA準備】証券会社のサービス・事業などで大きな動き

日本証券業協会によれば6月30日現在、証券会社のNISA口座総数は1290万で、昨年末から9.4%増。 内つみたてNISA口座数は576万で、昨年末から16.2%増。特につみたてNISAへの関心が高まった。

認知度:10/影響:8/革新性:6

 

新しいNISA制度
2024年1月スタート

 

【ポイント1】株式分割の活発化

成長投資枠に選びやすい優良銘柄が多数

東証は2022年10月、投資単位が50万円を超える上場企業に対し、株式分割の実施検討を呼び掛けた。新NI
SAの成長投資枠を見越した需要も大きく後押しし、2023年はNTTやファーストリテイリングなど優良大手企業の株式分割が活発化。

 

【ポイント2】1株投資が活況

投資戦略に合わせて細かく積立設定が可能

株式分割も相関し、1株投資が隆盛。楽天証券は大手証券では後発となったが、4月に単元未満株を1株から投資できる「かぶミニ」を開始。さらに、6月には単元株と単元未満株の組み合わせで積立設定できる業界初のサービス「かぶツミ」を開始。

 

【ポイント3】マネックス証券協業体制

新NISAを見越した事業の強化で資産運用ニーズに応える

NTTドコモとマネックスグループ、マネックス証券が資本提携を発表。dポイント・dカード・dアカウントなどと資産形成サービスの連携に期待だ。また、同証券は来年からイオン銀行との業務提携も開始予定で、包括的に事業の強化を図っている。

 

新NISAを見据え顧客を取り込む戦略

「上場企業や銀行、証券など金融業界では、個人投資家向けのサービス・事業内容を強化。大手ネット証券では国内株式売買手数料のゼロ化など、投資へのハードルを下げる改革も」(頼藤さん)