Vシネマ俳優四天王のひとりとして名を馳せる竹内 力さんが、2024年1月4日で還暦を迎えます。竹内さんと言えばもちろんヤクザなどイカツイ役どころが多いですが、デビュー作で演じたのは、さわやかすぎるライダー役でした。

ホントにあの竹内 力さん!?

 Vシネマ俳優四天王のひとりとして名をはせている、俳優の竹内力さん2024年が1月4日で還暦を迎えます。

 竹内さんといえば、もちろんVシネなどでお馴染みなヤクザなどイカツイ役が多い印象ですが、実はそのイメージは1987年に公開された『極道の妻たちII』以降についたもの。デビュー作で1986年に公開された『彼のオートバイ、彼女の島』では全く違って、さわやかな青年役を演じていました。


撮影で使われていたバイクと同タイプの650RS-W3(画像:カワサキ)。

 同作はタイトルからも察せられるように、オートバイと恋愛を題材とした映画です。しかも監督は、本作よりもはるかに角川映画として有名な『時をかける少女』(1983年)の大林宣彦さんが務めており、若者向けの青春映画色が強い作品でした。

 竹内さんはこの作品で、出版社や新聞社に原稿を届ける、今で言うバイク便のような仕事をしている主人公・橋本巧を演じています。

 竹内さんの演じる巧はちょっとキザで、さわやかな若者という雰囲気です。竹内さんは役者になるためにバイクで上京してきたという逸話があるだけに、バイクに乗るシーンはこなれている感じすらします。

 劇中で乗っているバイクはカワサキの「650RS-W3」で、そんなバイクにまたがる巧に興味を持つ白石美代子を演じるのが原田貴和子さんです。旅先の長野で出会ったことをきっかけに、ふたりは付き合うようになるのですが、劇中では全編通してバイクごしに若者の恋愛が描かれおり、美代子は巧に恋をしているのか、バイクに恋をしているのか、わからなくなるほどです。

実はド派手なアクションもある!

「これはモノクロームの夢の物語」というナレーションで始まるこの映画。まさにそのような、ある意味浮世離れした世界観が、バイクの描写と共に展開されます。

 全体を通しての描写も、「バイクに乗ると出会いがあるかも」というマイルドなものではなく、「バイクに乗って外に出ないと素敵な恋は出来ないぞ。さあ乗れ!」くらいの強引さです。序盤からインパクト絶大で、美代子と初めて出会ったシーンで「どこへ行くの?」という質問に、巧は「風をさがしに」と返します。そんな表現を日常生活のどこで使うでしょうか(笑)。

 そして、同作の隠れた魅力が、乗りもの系スタントで有名なタカハシレーシングが本気で取り組んでいるバイクでのアクションシーンです。

 序盤では、巧が元彼女の冬美と別れたケジメをつけるため、巧の仕事先の兄貴分で、冬美の兄でもある三浦友和さん演じる沢田秀政とバイクを使った決闘をするシーンがあるのです。お互いの度胸を競いあうチキンレースのような手垢のついた真似はしません。すれ違いざまに木刀でシバキ合うという、まるでジョスト(馬上槍試合)のようなルールで対決します。

「この戦が終わったあとは恨みっこなし」と前置きするシーンがあり、劇中では命に別条はない怪我で済んでいますが、現実でやったら下手したら命に関わります。この辺りのド派手なシーンをタカハシレーシングのスタッフが完璧にスタントしており、さわやかすぎる竹内さんの演技と同じくらい見どころかもしれません。

※一部修正しました(1月4日18時49分)。