近鉄で2024年にいよいよ「異色の新型車両」がデビュー予定です。24年ぶりの新たな一般列車用の新型は、イメージを刷新する外観デザインだけでなく、内部へ新機軸が随所に設けられます。

24年ぶりの「イメージ刷新」

 2024年は近鉄で「異色の新型車両」がデビュー予定です。運行開始は秋で、奈良線・京都線・橿原線・天理線系統の一般列車として走り始める見込みです。

 一般列車用の新型としては、2000年デビューの「シリーズ21」以来、24年ぶりとなります。その「シリーズ21」も、「グレー+白+黄ライン」という配色で、赤+白という近鉄一般車の車体イメージを大きく転換させましたが、2022年春に発表された新型車両のビジュアルは、「赤と白を基調に、青い帯」をアクセントにまとうもので、またまたイメージを覆しました。


近鉄が今年秋に導入する新型車両のイメージ(画像:近畿日本鉄道)。

 発表直後はSNS上でも騒然となり、賛否両論というよりは「変化が激しすぎてまだ実感がわかない」といった様相に見えました。その後、車庫で「既存車両を新型デザインっぽく試験塗装する」風景も目撃され、その時の写真には「以前のえんじ色+クリーム色に意外と似ている」といったコメントも。

 とはいえ、いよいよ今年秋のデビューに向けて、数か月後には試運転で一般の目に触れる機会も多くなってきます。同じく「異形すぎる新型車両」としてファンの度肝を抜いた「大阪メトロ400系」も、2023年に実際の電車がデビューしてみると、案外すんなりと受け入れられた印象もあったので、近鉄の新型も同様になるかもしれません。

車内に入ってすぐ“異色の座席”と対面

 内装も、ともすれば平凡な通勤電車とは一線を画しています。まず座席の特徴は、進行方向に向いた「クロスシート」と、通路向きの「ロングシート」を切り替えられることです。首都圏では西武や京急などで採用されはじめていますが、もともとは近鉄の“L/Cカー”が先がけと言え、今回の新型にも受け継がれます。

 デザインは「日常の華やかさ」をコンセプトに、桜を基調としたパターンの座席が採用され、側壁は明るい木目調。床面はシックな濃茶ですが、優先座席付近はオレンジ色です。

 特に「異色の座席配置」として話題になったのは、ドア横の車いすスペースに、1人用の腰掛けがあること。そもそもこうしたスペースは車端部にあることが一般的な中、車両中央部の各2か所、しかも簡易座席まで設けているのは日本初だとか。

 車両デザインを担当した株式会社イチバンセンの川西康之さんよると、これは「子育てしやすい沿線」「選ばれる近鉄沿線」というコンセプトが念頭にあったといい、ベビーカー利用の人や、スーツケースなど大型荷物を持った旅行客が、車内で気兼ねなく一休みしやすい設計だといいます。

 近鉄のイメージを大きく変えた「シリーズ21」から24年、さらなるイメージ転換を果たす車両は実車の登場でどう受け止められていくのか、楽しみです。