一夜明け会見で「苦戦、階級の壁でしょ」と指摘されたものを苦笑いで指折り数える井上尚弥【写真:浜田洋平】

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井上尚弥が2階級4団体統一から一夜明けて会見

 ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)が27日、2階級4団体統一の快挙から一夜明け、神奈川・横浜市内の所属ジムで会見した。前夜は東京・有明アリーナでWBA&IBF王者マーロン・タパレス(フィリピン)に10回1分2秒KO勝ち。男子では世界2人目となる2階級4団体統一の歴史的偉業。スーパーバンタム級では史上最速の5か月での4団体統一となった。傷一つない顔で試合を振り返り、心境を明かした。

 いつも通り綺麗な顔で一夜を明けた。井上は陣営の大橋秀行会長、父・真吾トレーナーと会見。少し睡眠をとったそうで「夢は見てないです。昨日の試合が夢だったらどうしよう」と笑い、充実感を漂わせながら衝撃KOなどを振り返った。

「一夜明けて少し落ち着いて映像も見返した。リング上よりも高い技術戦をした印象です。最後まで気が抜けない戦い。相手も一発を狙っていた。ヒリヒリした試合はめちゃくちゃ楽しかったです。ダメージは全くないです。(今の井上尚弥は)70点です。まだ30点の伸びしろがある」

 試合は4回、自慢の左ボディーでダメージを与えると、左フックを着弾。ラッシュで1つ目のダウンを奪った。後ろ重心で井上から顔を遠ざけたタパレスは、L字ガードで防御を徹底。井上は多彩な強打で揺さぶると、10回にワンツーでガードをこじ開け、10カウントを鳴らした。

「試合体重は61.2くらい。無理して増やしていない。スピードもキレも落ちず、よりパワーが乗っていた。馴染んだと言ってもいいけど、まだ体は大きくしてもいい。4ラウンドで終わらず、10までいったのは経験としてよかった。反省として詰めていきたい」

 ネット上や識者の声に「階級の壁とか苦戦とか言われてますけど、この内容で言われたらどうしたら良いんです?」と苦笑いする場面も。「タパレスも世界王者ですよ。それだけ自分に期待値があったり、皆さんの感情があるのは凄く嬉しいことなんですけど、これで言われたらやりづらいですよ! 1、2発パンチをもらったら苦戦してるとか、漫画じゃないんだから(笑)。大振りという指摘もあったけど、その中でやっている本人しかわからない小さい駆け引きもある」と話した。

 かつて米専門誌「ザ・リング」でもトップに立ったパウンド・フォー・パウンド(PFP)や年間最優秀賞については「そこを目指してないけど、順位や賞をいただけるのは嬉しいです」と話した。

 次戦は5月が想定され、WBAは4月にタパレスに判定負けしたムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)が、WBCは元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)が指名挑戦権を持つ。IBF、WBOはサム・グッドマン(豪州)が1位につけるが、米メディアなどでは東京Dでネリと対戦することが有力視されている。次戦について大橋会長は「これからゆっくり考えます。より大きな会場を考えてます。(東京Dは)選択肢としてあります」と話すにとどめた。

(THE ANSWER編集部)