アメリカ合衆国司法省(DOJ)は、世界最大の仮想通貨取引所であるBinanceをマネーロンダリングや銀行詐欺、制裁違反などの疑いで数年間にわたり調査しています。この調査の決議案の一環として、DOJがBinanceに40億ドル(約5900億円)以上の支払いを求めていることが明らかになりました。

US DOJ Seeks More than $4B From Binance to End Criminal Case - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-11-20/us-seeks-more-than-4-billion-from-binance-to-end-criminal-case



BNB price spikes amid report of possible Binance deal with DOJ | The Block

https://www.theblock.co/post/263858/bnb-price-spikes-amid-report-of-possible-binance-deal-with-doj

DOJ Is Seeking $4 Billion From Binance, Criminal Charges Against CZ - Decrypt

https://decrypt.co/206716/doj-seeking-4-billion-binance-settlement-cz-criminal-charges

US seeks more than $4 billion from Binance to end criminal case -Bloomberg News | Reuters

https://www.reuters.com/legal/us-seeks-more-than-4-bln-binance-end-criminal-case-bloomberg-news-2023-11-20/

交渉に詳しい関係者によると、DOJはBinanceに対して実施してきた調査を終結させるために、40億ドルの支払いを求めている模様。この調査が解決されなければ、Binanceの創業者であるチャンポン・ジャオCEOが、アメリカで刑事告訴される可能性があるそうです。なお、ジャオCEOはアメリカとの犯罪者引き渡し条約を結んでいないアラブ首長国連邦に居住しています。

匿名の情報筋によると、状況は依然として流動的ではあるものの、早ければ2023年11月末にも支払いが発表される可能性がある模様。BloombergはBinanceとDOJにコメントを求めていますが、Binanceからは返答を得られておらず、DOJはコメントを控えています。

なお、Bloombergがこの件について報じたところ、Binanceの独自トークンであるBinance Coin(BNB)の価格が最大8.5%上昇しました。



仮想通貨ベンチャー・Castle Island Venturesの創設者のひとりであるマット・ウォルシュ氏は、「監視条項を設けた和解は、投資家を保護し、Binanceがより制度的で法に準拠した将来の方向に向かう選択肢を選べるようになる妥協策となる可能性があります」とコメントしています。

提案された決議案と具体的な請求額などは明らかになっていませんが、これは仮想通貨関連の刑事事件としては史上最大の刑罰のひとつになるとみられています。

なお、今回の調査は警察のマネーロンダリング資産回収部門や、国家安全保障部門、シアトルの連邦検事局が主導しているそうです。



関係者によると、DOJとBinanceの間の合意は「市場や仮想通貨保有者にマイナスの影響を与える可能性のある破綻のリスク」をもたらすのではなく、Binanceが事業を継続できるようなバランスを取れるようにすることを目指したものだそうです。

別の関係者によると、Binanceは訴追延期協定への合意を求めるなど、和解におけるリスクを最小限に抑えようと努めている模様。BinanceとDOJが訴追延期協定に合意すれば、DOJはBinanceを刑事告訴することになりますが、協定により訴追を進めることはありません。通常、訴追が進められれば多額の罰金の支払いや、不正行為の概要を説明する詳細な事実陳述に合意することが、企業のコンプライアンスを監視するプロセスを設定することなどが求められます。

関係者によると、DOJはイランとロシアに対してアメリカが課している制裁を回避するためにBinanceが利用された疑いをかけ、調査を進めているそうです。他にも、Binanceはハマスへの資金提供取引に関与した可能性が指摘されています。

DOJによるBinanceの調査は、これまでDOJが仮想通貨企業に対して実施してきた調査としては最大規模のもののひとつです。この調査が和解に終われば、仮想通貨取引所・FTXの破綻に続く歴史的な解決につながるとBloombergは指摘しています。

なお、BinanceはDOJ以外にも複数の政府機関から目を付けられており、2023年6月には証券取引委員会がBinanceとジャオCEOに対して訴訟を提起しています。