来週でアーセナルの監督就任10周年を迎えるアーセン・ベンゲル監督。「退屈」と揶揄され続けたノースロンドンのクラブに、流麗な攻撃スタイルを植え付け、すでに7つのタイトル(リーグ優勝3回、FAカップ優勝4回)をもたらした。その指揮官の誘いを受け、イングランドで世界一のFWに成長したティエリ・アンリが、恩師の功績に賞賛を送った。

「ゲームを観る眼と、嗜好するスタイルは、独自のものがあるね。チームにはそれぞれスタイルがあるし、退屈と言われていた昔のアーセナルだってタイトルは獲得していた。でも僕たちは、魅せるサッカーで結果を残してきたんだ。『アーセナルのファンじゃないが、君たちの試合を観るのは好きだ』と言われることも少なくないからね。これこそアーセンの功績だよ」

 さらに、このフランス人監督のハイライトと言えば、リーグ戦を無敗で優勝した2003-04シーズン。この偉業について、アンリは知将ベンゲルを象徴するエピソードを紹介した。

「いきなり『今シーズンは無敗で終える』って宣言したことがあってね。でも、言うのが1年早かったんだ。言った途端に、そのシーズンは負けちゃったからね。周りの連中は笑ってた。でも、次のシーズンには、宣言どおりに無敗優勝を成し遂げた。彼は、誰も考えないようなことを言うのが好きなんだ。素晴らしい戦術家でもあるけど、それ以上に魅力的な人物なんだよ」

 外国人監督でありながら、サッカーの母国で確固たる地位を築き上げたベンゲル。「サッカーなしでは生きられない男」(アンリ)は、今後もその洗練されたスタイルで、プレミアの歴史に名を刻み続ける。