【映画で学ぶ英語】『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』、ホワイト・ウィドウの名言
7月21日に公開された『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』は、トム・クルーズ主演のスパイアクション映画シリーズの7作目。シリーズ初の2部作の前編となり、後編は2024年6月に公開予定だ。
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今回はこの映画でヴァネッサ・カービーが演じる武器商人ホワイト・ウィドウの名言から、動詞vanishの意味や使い方を解説したい。
■映画『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』のあらすじ
ロシアの潜水艦「セヴァストーポリ(日露戦争の黄海海戦に参加した戦艦に同名の艦がある)」は、北極の氷冠の下を推測航法(デッドレコニング)で航行していた。最新の防衛システムの実験をしていた同艦は、システムが暴走してコンピューターと一緒に沈没してしまう。実はそのコンピューターには「ジ・エンティティ」と呼ばれる最新鋭AIのソースコードが仕込まれていた。ジ・エンティティは世界中のあらゆるネットワークに痕跡を残さず侵入できるAIだったが、自我を持ち始めた可能性があって人類最大の脅威となりつつあったのである。
「セヴァストーポリ」のコンピューターの2つに分割された鍵を手中に収めた人物のみが、ジ・エンティティを制御できる。
イーサン・ハントと不可能任務部隊「IMF」は、MI6の元工作員イルサから鍵の半分を手に入れたが、もう片方の鍵を持つ泥棒グレースには逃げられてしまう。
イーサンやイルサたちは、グレースやジ・エンティティの手下であるイーサンの宿敵ガブリエルを追って、イタリア・ヴェネチアに向かうのだった。
■ホワイト・ウィドウの名言
ヴァネッサ・カービー演じるアラナ・ミツソポリスは、シリーズ前作「フォールアウト」で登場した「ホワイト・ウィドウ」と呼ばれる国際的な武器商人だ。彼女もジ・エンティティの鍵を手に入れることを企てていた。アラナがベニスで開催した大パーティで、イーサンとグレース、イルサにガブリエルたちは一堂に会することになる。
イーサンたちを席につかせてアラナは、ジ・エンティティの潜在的可能性を次の名セリフで集約した。
“The world is changing. Truth is vanishing. War is coming.”
「世界は変化し。真実は消滅し、戦いが始まる」
■表現解説
今回のセリフでは現在進行形を連続して用いることで、緊迫感が高められている。2番目の文で使われている自動詞のvanishは、「消える」「消失する」「跡形もなくなる」といった意味を持つ。同じような意味の”disappear”に比べると、突然消えていくニュアンスが強い。
「失踪した、行方不明になった」という意味で、”When I looked back again, she just vanished(振り返ったら、彼女は忽然と姿を消していた)”のように用いることがある。「飛行機が跡形もなく行方不明になった」と言う場合には、”The aircraft vanished without trace”となる。
さらに”vanish”は、動物の種や伝統、さらに名声や影響力といった抽象的なものが存在しなくなるという意味にもなる。例えば”He saw his career vanish after the scandal”だと、「スキャンダル後、彼のキャリアは終わった」ということだ。
こういった意味で今回のセリフは、真理という概念が意味や影響力を急速に失っていることを端的に表現していると言えるだろう。