ホンハイのインド半導体合弁はスタートからわずか1年余りで頓挫した(写真は同社ウェブサイトより)

電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手の台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)は7月10日、インドでの半導体製造の合弁プロジェクトから撤退すると発表した。

同社は2022年2月、傘下の富士康科技集団(フォックスコン)を通じてインド資源大手のベダンタグループと合弁会社設立の覚書に調印。同年9月には、インドのモディ首相の故郷であるグジャラート州に195億ドル(約2兆7414億円)を投じて半導体工場を建設し、10万人の雇用を創出する計画をぶち上げた。

スタートから1年余りで頓挫

ところが、両社の協業はスタートからわずか1年余りで頓挫した格好だ。ホンハイの声明によれば、同社はベダンタとの合弁事業から完全に手を引き、合弁会社はベダンタの100%子会社に移行するという。

とはいえ、ホンハイはまだインドでの半導体製造を断念したわけではない。同社は声明のなかで、「わが社はインド政府の『メイク・イン・インディア』構想を引き続き支持しており、インドの半導体業界の発展を確信している」と強調した。

同じく7月10日、インド情報技術省のラジーブ・チャンドラセカール副大臣はSNS(交流サイト)に投稿し、ホンハイとベダンタの合弁解消の背景を次のように述べた。

「両社は回路線幅28ナノメートルの半導体工場の建設計画をインド政府に提出していた。しかしホンハイもベダンタも半導体製造の経験がなく、外部の技術パートナーを必要としていたが、見つけられなかった」

STマイクロとの交渉が難航か


本記事は「財新」の提供記事です

ロイター通信の2023年5月の報道によれば、インド政府はスイス半導体大手のSTマイクロエレクトロニクスに対して、技術ライセンスの供与にとどまらない合弁プロジェクトへの深い参画を期待していた。

だが、実際には合弁会社とSTマイクロの交渉が難航し、プロジェクトは遅々として進まない膠着状態に陥っていた。

(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は7月12日

(財新 Biz&Tech)