ドイツ・ワールドカップを最後に、イングランド代表に選出されていないデイビッド・ベッカム。代表100キャップまで残り6と迫りながらの落選について、冷静な対応を続けてきた元キャプテンだが、母国イングランドで出演したラジオ番組で、ついにスティーブ・マクラーレン監督への怒りをあらわにした。

 『BBCラジオ1』に出演した31歳は、メンバー落ちを伝えられた様子を、激しい言葉で振り返った。

「スティーブ・マクラーレンは、突然僕に電話をよこした。足首のケガの状態を聞かないから、何も問題はないだろうと思ったよ。すると彼はこう言ったんだ。『私はチームとともに前に進みたい。そのためには、どうしても犠牲が生まれる。そして、君はその犠牲者の1人になる』とね。電話を切ったときは、怒りがこみ上げてきた。そして、同時にガッカリした。母国のためにプレーすることは、僕にとってすべてだった。でも、監督に泣きついたりはしなかった。彼の意思は固いようだったからね」

 さらに、ワールドカップの敗退が決まった直後に、代表キャプテンの座から退くと発表したベッカムは、その決断を下した時期についても明らかにした。

「ワールドカップの6ヶ月前から、大会終了後にキャプテンを辞めようと決めていたんだ。6年間務めたキャプテンを辞めるわけだから、とてもタフな決断だった。でも、時期的には丁度いいと思ったんだ。2010年大会には出場できないだろうし、そろそろ新しいキャプテンに引き継ぐべきだと思ってね。親友のガリー・ネビルや、妻のヴィクトリアにも相談したけど、みんな納得してくれたよ」

 最後に、「まだ代表でプレーしたいと思っている。だからこそ、代表からは引退していないんだ」と、復活への意欲を語ったベッカム。先日、骨折の重傷を負ったMFオーウェン・ハーグリーブス(バイエルン・ミュンヘン)の離脱で、代表復帰のチャンスも伝えられた。しかしマクラーレンは、すでに代表を引退しているMFポール・スコールズ(マンチェスター・ユナイテッド)に復帰を求める可能性を示唆するなど、いまだ逆風は続く。代表落選以来、はじめてあらわにした指揮官への怒り。自らを切り捨てた男への反撃は、吉と出るか凶と出るか……。