北海道函館市が「新幹線の函館駅乗り入れに関する調査業務」へ本格的に乗り出します。「ミニ新幹線」方式だけでない直通方法を調査するようです。想定する運行区間などが明らかになりました。

「ミニ新幹線」と「フル規格車両」の乗り入れを調査

 北海道函館市は2023年7月18日(火)、新幹線の函館駅乗り入れに関する調査業務を公告しました。今後、8月下旬に調査を委託する事業者を公募型プロポーザル(企画提案)方式で決定し、9月頃に調査を開始、年度内に調査結果を公表する方針です 。


北海道新幹線(画像:写真AC)。

 北海道新幹線が発着する新函館北斗駅は、函館市街地から17.9kmも離れた北斗市内にあります。そのため、新幹線駅と函館駅を結ぶ「はこだてライナー」が運行されていますが、2030年度末に予定されている北海道新幹線の札幌開業に伴い、函館〜新函館北斗間はJR北海道から経営分離される見通しです。

 そこで2023年4月に就任した大泉 潤市長は、公約に「新幹線の現函館駅乗り入れに関する調査の実施」を盛り込んでおり、市の令和5年度補正予算に調査費が計上されていました。

 今回の調査は、函館〜新函館北斗間の線路を改築し、在来線規格で新幹線に直通が可能な車両を新造する山形・秋田新幹線のような 「ミニ新幹線車両」だけでなく、通常の「フル規格新幹線車両」の乗り入れを想定した調査を行うことを目的としています。新幹線函館駅乗り入れのスケジュールは、札幌開業と同時期(2030年度末)を想定しています。
 
 具体的には、「函館駅乗り入れの整備費調査」「旅客見込者数の予測調査」「乗り入れ効果の検証調査」などを実施する予定。調査の前提条件として、新幹線の運行区間は「東京〜函館間」や「札幌〜函館間」などが想定されており、各パターンを検討していく方針です。「函館駅乗り入れの整備費調査」では、整備費用算出のほか、技術面・運用面における課題の洗い出し、旅客・貨物列車になるべく影響を与えない整備工程の検討を行うとしています。

 市が調査を発注したことで、一歩前進した函館駅乗り入れ。今後、検討が深度化していく見込みですが、果たしてどのような方式となるのでしょうか。