東京都足立区にある首都高6号三郷線の「加平出入口」はグルグルと渦巻く特異なランプ構造です。こんな形になったのは都内ならではの理由にあるそうです。

二重渦巻き構造が左右に2つ

 東京都足立区にある、首都高6号三郷線の「加平出入口」。この出入口のランプは特異な構造で、蝶が蜜を吸う口のようにグルグルと渦巻きながら、地上と高架をつないでいるのです。


東京都足立区の首都高6号三郷線の加平出入口(画像:Google Earth)。

 首都高の出入口の多くは、高架の本線と地上をつなぐ単純なスロープ型で、「西方面から出る・西方面へ入る」のように片側を向いていますが、この加平出入口は上下線で出入りができる珍しい「フルIC」の構造です。

「渦巻きランプ」は首都高の東西に計2つあり、西側は環七通り東行き、東側は西行きの車線と接続するようになっています。それぞれ「出口ランプ」が内側、「入口ランプ」が外側の二重構造になっています。

 葛飾方面から来た車(環七の西行き)が外環道方面(三郷線北行き)に行く場合、ぐるっと一周して料金所、さらに半周して本線へ右側から合流することになります。ドライブする上では路面標示や案内標識に従って進めば迷うことはありませんが、あらかじめ動線を把握しようとすると、なかなか複雑で厄介です。

 外観デザインも特異で、渦巻き部の橋桁は丸柱とアーチ窓の連続で支えられており、古代ローマの円形闘技場「コロッセオ」を彷彿とさせます。

なぜこんな「ダブル渦巻き」になった?

 このような「渦巻きランプ」は2010(平成18)年に開通した大橋JCT(C2中央環状線・3号渋谷線)が有名ですが、加平出入口の開通は1985(昭和60)年。つまり、首都高にいくつかあるこの種の構造の「元祖」と言ってもいいでしょう。

 では、なぜこの構造が採用されることになったのでしょうか。首都高は「他の出入口とは異なり、1つの入口から首都高の上下線へ合流していく構造のため、高架下を駆け上がるシンプルなランプにできません」と話します。都内であり用地取得を最小限に抑える必要があることから、動線を1か所にまとめた円形立体ループ状になったとのことです。

 さらに、接続するのが環七通りという交通量の多い道路なので、首都高へ出入りするのに右折待ちがあると渋滞の原因になります。そこでランプを2か所設け、それぞれ環七通りの東行き・東行きを担当させることで、どの交通も左折でスムーズに分岐・合流することができるわけです。