【スポーツメンタル】心も強靭なアスリートの育成につながるレジリエンスの重要性

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 皆さんは失敗体験や怪我から立ち直るためにどれほどの時間を要しますか?

 強靭なアスリートはフィジカルだけでなく、メンタル面においても優れていることも多いです。 特に、逆境を成長できるタイミングと捉え、困難を困難と捉えないような心の強さを持ったアスリートもいます。 そこでこの記事ではそんな心の強さにもつながる「レジリエンス」について解説します。 心技体ともに優れたスポーツ選手・アスリートを目指す方はぜひ参考にしてみてください。

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レジリエンスとは

心理学におけるレジリエンスとは個人が困難や厳しい状況に直面したときに、それを乗り越えて回復する能力を指します。 レジリエンスの高い人は過度なストレス下や困難な状況に直面しても、うまく対処することができます。 また、状況の打破だけでなく、その状況から学びを得ることができる人もいます。

つまり、レジリエンス能力の高い人は、トラウマになってしまうそうなほどの困難な経験も未来の成功につなげるための知見やスキルを獲得できるのです。 レジリエンスは、困難な状況や危機に適応し、それを生産的な方法で乗り越えるために重要な要素であり、ストレス管理、自己認識、問題解決能力、ポジティブな思考、自己効力感などの要素を含みます。

また、レジリエンスは生まれ持った才能ではなく、個人の経験や行動によって時間とともに成長し変化するため、心理的なサポートやトレーニングを通じて鍛錬できることもあります。

アスリートやスポーツ選手がレジリエンスを鍛えるメリット

アスリートやスポーツ選手がレジリエンスを身につけることで得られるメリットには以下のようなものがあげられます。

高いストレスがかかっても動じにくくなる
スポーツ競技は人によって感じる程度の差はあれど、常にストレスを伴いやすい要因が存在します。 特に、重要な試合や競技においては、プレッシャーに起因するストレスは計り知れないものになることもあるでしょう。 レジリエンスを鍛えたアスリートであれば、こうした状況でも冷静さを保ち、ストレスをうまくコントロールすることが可能になります。これはアスリートがベストパフォーマンスを発揮するための重要な要素であり、競技成績を大きく左右することもあります。

怪我や失敗からの回復につながる
多くのスポーツ選手やアスリートにとって、怪我や失敗はスポーツ・競技において避けては通れない経験なのではないでしょうか。しかし、これらから素早く立ち直ることができるかどうかは、個々のレジリエンスによって大きく左右されます。心理的なレジリエンスが高いアスリートは、物理的な怪我だけでなく、精神的なダメージからも速やかに回復することができます。 競技にもよりますが、一般的にアスリートの競技寿命はそう長くはありません。 高いレジリエンスを身につけることで、競技寿命を伸ばし、最高の成績を追い求めることができるようにもなります。

成長率の維持を促す
アスリートにとって、困難な状況や挫折を成長の機会と捉えることは重要です。レジリエンスの高いアスリートは、どんな逆境であってもポジティブに捉え、事故の学びに活かすことができます。つまり、困難を遭遇した時でも自己の成長を止めることなく、経験を糧にしてさらなる高みを目指すことができるのです。 成長を止めずに競技に挑み続けることができる能力は、アスリートが競技における自身の秘められた可能性を最大限に引き出すための重要な要素です。

【論文から学ぶ】レジリエンスと精神的な健康の関係

イランのギラン応用科学技術大学の研究者らによる研究(※)は学生の精神的健康を維持・改善するための精神的な困難に対する耐性とレジリエンスの重要性を調べました。

この研究ではレジリエンスの定量的な評価には、高いレジリエンス能力をもち、PTSDを発症しない人の特徴と照らし合わせるCD-RISCと、神経症者の症状把握、評価および発見に用いられているGHQ精神健康調査を用いました。 ギラン応用科学技術大学の学生155人を対象にした研究の結果、体の丈夫さ、精神的健康とレジリエンスの間には有意に関係があることが示されました。

特にレジリエンスが増すほど、身体的な症状、不安症状、社会的機能不全、抑うつ症状は減少し、結果として精神的健康状態が改善することがわかったそうです。 このようにレジリエンスはメンタルのみならずフィジカルの健康にも大きく関与する要因であると言えます。

レジリエンスを高める秘訣は「自己効力感を高める」「思考パターンを変える」「周囲と繋がりを持つ」

レジリエンスを高めるためには、自分自身が特定の状況やタスクに対して成功する能力を持っているという信念である「自己効力感」を高めることや、後ろ向きな思考の癖を改め、物事を前向きに考える方法である「ABCDE理論」の実践、コーチやチームメイト、家族など、周囲の人々からのサポートを受けると言った方法が効果的です。

レジリエンスは鍛錬によって向上させることもできるため、まずは自分の身近な点から改善していってみましょう。

※引用論文・Relationship between Psychological Hardiness and Resilience with Mental Health in Athlete Students in the Guilan Unit of University of Applied Science and Technology(2021)

[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人

1983年、イギリス生まれの東京育ち。7歳から野球を始め、高校は強豪校にスポーツ推薦で入学するも、結果を出せず挫折。大学卒業後の社会人生活では、多忙から心と体のバランスを崩し、休職を経験。
こうした生い立ちをもとに、脳と心の仕組みを学び、勝負所で力を発揮させるメソッド、スポーツメンタルコーチングを提唱。
プロアマ・有名無名を問わず、多くの競技のスポーツ選手のパフォーマンスを劇的にアップさせている。世界チャンピオン9名、全日本チャンピオン13名、ドラフト指名4名など実績多数。
アスリート以外にも、スポーツをがんばる子どもを持つ親御さんや指導者、先生を対象にした『1人で頑張る方を支えるオンラインコミュニティ・Space』を主催、運営。
『弱いメンタルに劇的に効くアスリートの言葉』『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』など著書8冊累計10万部。